講演の内容は、レノボ製品の紹介に移る。
大谷氏がまず取り上げたのは、ThinkPad X1 FOLDという折りたたみ可能なノートPCだ。 同社が約5年前から温めてきたコンセプトを具現化した製品といい、広げると13インチのタブレット形状、折り畳むと約9インチになるという。
「こういった新しい使い方ができるようなデバイスは、これから多様化する働き方に対して必要になってくるんじゃないかなと考えております」(大谷氏)
同社には、テレワークにはどのようなPCがいいのかという問い合わせが寄せられるとのことで、大谷氏はその7つの条件を示した。
画面サイズは、オフィスで一般的な15インチよりも一回り小型の13インチから14インチが、価格面からもいいという。
また、WebカメラやWi-Fi 6またはLTEモジュールの搭載に加えて、打鍵の疲れが無いキーボードも必要だと大谷氏は語る。
これらの条件を中心にユーザー企業とこの半年ほど話してきたという大谷氏は、ニューノーマル時代のデバイス選択における考慮点を3点挙げた。
まず、従来は社内でのみの使用を想定していたデバイスを見直すべきだという。デスクトップPCはもちろん持ち運べないし、15インチのノートPCも大きさや重さの点から持ち運びには難がある。だからといって軽量なモバイルPCを選択すると別の問題点があると、大谷氏は指摘する。
大谷氏が勧めるのは、ThinkPad L14 Gen 1だ。ThinkPad Lシリーズはスタンダードな位置付けで購入しやすい価格帯ながら、カメラに加えてLTE機能も搭載可能という。1kgを切るモバイルPCほどの軽さはないが、1.6kgであり15インチPCよりは持ち運びしやすいとのことだ。
モバイルワーカーやハイブリッドテレワーカーには、ThinkPad史上で最軽量というX1 Nanoを大谷氏は勧める。ThinkPadならではの堅牢性は維持しつつ、5G対応のモデルもあり、大谷氏は「コロナ禍の中でもさまざまな場所で活躍できるデバイスで、意欲的な製品です」と胸を張る。
大谷氏はデバイス選択に関連して、デプロイメント(展開)の課題に触れる。在宅勤務者が増加した現状や今後は、従来の手法では個別にクローニングのイメージを作成しなければならず、IT部門に大きな負荷が掛かるという。
そこで大谷氏は同社が掲げる「Modern IT」という、マイクロソフトのWindows AutoPilotのテクノロジーを中心に据えたデバイス展開の手法を紹介する。ごく簡単に言うと、メーカーがIT部門に送ったイメージを展開するのではなく、エンドユーザーがクラウドにサインインすると必要なソフトウェアをインストールするという仕組みだ。実際にはもう少し複雑なのだが、同社はこのソリューションに注力していると大谷氏は語る。
また、実利用を開始した後のトラブル対応にも役立ちIT部門の負荷も軽減できるとのことで、大谷氏はこのサービスメニューの検討を勧めている。
テレワークで使用する周辺機器の選定に関して、特に在宅勤務の場合は環境が大きく2つに分類できると大谷氏は指摘する。
まず、書斎のように自分専用の部屋がある場合。この場合は、ヘッドセットが不要でPCに内蔵または外付けのスピーカーやマイクでも十分であり、設置場所にも余裕があるので大サイズの画面も選択できると大谷氏は語る。
一方で、リビングやダイニングで仕事をしているという在宅勤務者が多いのではないか。 この場合は、オンライン会議に子供の声を含む生活音が入るとよくないし、自身も音が聞こえづらくなるという問題がある。大谷氏はこの対策として、ノイズキャンセリング機能を持つヘッドセットを推奨する。
画面については場所の制約が厳しいため、小型のモバイルディスプレイを用いた2画面での作業を大谷氏は提案する。
ノイズキャンセリング機能を持つヘッドセットとして、同社は「ThinkPad X1 アクティブ ノイズキャンセレーションヘッドホン」を提供している。
「しっかりと生活音をカットして、会話者の方の音声だけを届けるヘッドセットですので、リビングやダイニングでのお仕事にも最適な製品と言えます」(大谷氏)
15インチのノートPCから14インチに切り替えると、テンキーを使えなくなると大谷氏は指摘する。同社は「Lenovo USB数値キーパッド2」を提供しており、ThinkPadがIBM製品だった時代から存在する種類の製品だといい、コロナ禍の中で売上が大きく伸びていると大谷氏は語る。
続けて大谷氏は、モバイルディスプレイ2製品を紹介する。
まずは「ThinkVision M14」。約2年前から販売している製品であり、14インチの画面で重量は約600gだという。USB Type-Cケーブルで接続して使用でき、現在人気の製品とのことだ。
続いては、2020年7月に登場した「ThinkVision M14t」。タッチパネルを備えペンでの操作にも対応しており、TeamsやZoomでのコラボレーションや、デジタルサインでの署名にも利用可能という。
ニューノーマル時代のデバイス選択における考慮ポイントの3点目として、大谷氏はマルチディスプレイの有用性を説く。
同社の調査では、フリーアドレスのオフィスに勤務する従業員の7割強がノートPCの1つの画面だけで仕事をしているが、マルチディスプレイを使用すると生産性が10%向上したという結果が出たとのことだ。
この数値をそのまま受け入れるかはともかく、生産性が向上するのは間違いないとして、大谷氏はマルチモニターが今後普及していくとみている。
オンライン会議の普及に合わせ、遮音性の高い作業スペース、いわゆるフォンブースが脚光を浴びている。同社はコンソーシアムに参画してテレキューブの普及活動を進めているといい、「この中にディスプレイやオンラインコラボレーションのツールを入れるといった動きがあり、面白い着目点かなと思います」(大谷氏)とのことだ。
こうしたブースは自社での設置に加えて、駅やオフィスビル内に設置し有償で利用可能なケースも増えているという。
一方、利用機会が急増したオンライン会議には、設定や操作が複雑でわかりにくい、コンテンツを共有しづらい、音声がクリアではないといった問題が、以前から指摘されてきたと大谷氏は語る。
その解決策として、同社は「ThinkSmartシリーズ」というデバイス群を提供しており、従来から対応しているTeamsやZoomに加えて、Google Meet対応のキット製品も提供開始したとのことだ。
大谷氏は最新の製品として、「ThinkSmart Hub」を紹介する。
会議室に常時設置する製品であり、ZoomやTeamsにも対応し、360度回転可能なスピーカーとマイクを装備する。また10インチの画面を備え、オンライン会議への参加操作も容易とのこと。画面を共有する場合は、HDMIケーブルで外部ディスプレイと接続可能という。
さらに大谷氏は、Teamsに対応する個人線用デバイスとして「ThinkSmart View」を紹介する。スピーカー、マイク、カメラを備え、単体でTeamsの会議に参加できるとのこと。
加えて、PCとBluetoothで連動可能であり、同製品で行っていたオンライン会議を引き継いで画面共有するといった使い方も可能という。大谷氏によると、企業の内線電話を同製品に置き換えるという動きもあるといい、「これから注目するデバイスだと思っております」とのことだ。
最後に大谷氏は、「弊社では、この先こういったデバイスの紹介やサービスメニュー、また我々自身がテレワークで培った知見をさらにお客様に還元できるように邁進して参りたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします」と公演を締めくくった。