大阪大学(阪大)大学院医学系研究科とセルソースは12月14日、 細胞から分泌される直径50~150nmほどの細胞外小胞「エクソソーム」を含む細胞分泌物「セクレトーム」を用いた慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:COPD)治療を目的とした共同研究を2020年12月より開始すると発表した。
COPDは、喫煙や大気汚染が原因で発症する慢性炎症性肺疾患で、発症すると肺胞が少しずつ破壊され、やがて肺気腫になり、気管支が閉塞することで呼吸機能の低下などを引き起こすことが知られている。全世界における死亡原因の第3位であり、日本国内においても約530万人以上の患者がいると推計されているものの、根本的な治療法はまだ確立されるにいたっていないという。
今回こうした背景から、阪大とセルソースは、COPDの新たな治療方法の確立を目指し、臨床応用を視野に入れた共同研究を実施することを決定したという。具体的には、脂肪幹細胞(ASC)から抽出したセクレトームを用いた治療による炎症などの症状の進行抑制効果を検討するとともに、ASCセクレトームの成分解析や主に肺をターゲットとした組織解析により治療の作用機序を解明し、臨床応用を目指すとしている。