アイポアは10月23日、ウイルスや細菌といった生体微粒子を高精度で識別できる、理化学研究用の微粒子分析手段「アイポア微粒子分析ソリューション」を発売したことを発表。併せて、その活用成果として、新型コロナウイルスの識別を計測時間5分で95%の精度を達成することに成功したことも発表した。

この新型コロナウイルス識別技術を開発したのは、大阪大学(阪大)産業科学研究所の谷口正輝 教授、同大大学院医学系研究科・医学部の朝野和典 教授、同大微生物研究所の松浦善治 教授らのグループとアイポアで構成される研究チーム。

アイポア微粒子分析ソリューションは、ウイルスや細菌などの生体粒子の識別を、短時間かつ高精度で可能とするもので、ウイルスや細菌に限らず、50nmから8μm程度の大きさのさまざまな微粒子の分析が可能だという。今回の研究では、同技術を活用し、新型コロナウイルスを含むコロナ亜種4種(SARS-CoV-2、229E、SARS、MERS)の識別に成功したほか、新型コロナPCR陽性/陰性の唾液臨床検体44例(PCR陽性20検体、陰性24検体)について、前処理2分+計測時間5分でPCRとの陽性一致率95%、陰性一致率92%という高い識別性能を実証することに成功したという。

また、このPCR陽性検体20検体のうち4検体については、1μLあたりRNAコピー数10以下の低ウイルス濃度であったが、それら4検体すべてを正しく陽性と識別することにも成功したとしている。

アイポアでは、アイポア微粒子分析ソリューションによって、ウイルスやエクソソームから細菌、血球類、さらには各種工業用微粒子など、幅広い応用範囲で、これまで不可能だったナノ〜マイクロサイズの粒子の分析ができるようになることから、さまざまな分野での理化学研究の進歩への寄与が期待されるとしている。

  • アイポア微粒子分析ソリューション

    アイポア微粒子分析ソリューションの構成