最先端テクノロジーを集積させたスマートシティ「東京ポートシティ竹芝」がいよいよ東京都竹芝地区において2020年9月14日に開業する。9月9日、報道関係者向けに東京ポートシティ竹芝内のスマートビル「東京ポートシティ竹芝 オフィスタワー」の内覧会が開催し、さまざまなデモが行われた。その様子をお届けしたい。
アクセス良好で自然を満喫できるスマートビル
同オフィスタワーは、JR浜松町駅と竹芝駅との間に位置し、首都高速道路の上を超え双方をシームレスに繋ぐ「ポートデッキ」によって、よりアクセスしやすい場所となっている。
また屋外の2~6階には、都心でありながら自然を感じることができるフリースペース「スキップテラス」が階段状に広がっている。
「空・蜂・水田・香・菜園・水・島・雨」の8つの景色で構成され、都市における生体多様系の取り組みについて発信していく。
ほかにも1階~3階には、約20店舗のカフェや居酒屋などの飲食店が立ち並ぶ「竹芝グルメリウム」や、約350を収容するイベントスペース「PORT HALL」がある。
さらに、同オフィスタワーのオフィスフロアの全てのフロア(9~39階)にソフトバンク本社が移転することが決定している。9月中旬から順次、同社社員が移動する予定だ。
スマートビルで働くロボットたち
内覧会にて同オフィスタワーを回遊していると、ソフトバンクをはじめとしたさまざまなテクノロジー企業が提供するロボットが人の代わりに働いていた。
まず初めに出会ったのは、配送ロボット「Cuboidくん:キューボイドくん」(ソフトバンク提供)。遠隔地まで非接触で荷物を運搬することができる「Cuboidくん」は、スタッフさんに缶コーヒーを渡していた。エレベーターとも連携可能で館内全てのフロアに荷物を運搬することも可能だ。
また、「Cuboidくん」は紫外線照射ロボットとしての一面ももっている。内覧会では「竹芝グルメリウム」で、さまざまな飲食店の実物の料理に「Cuboidくん」が紫外線を照射し、食品劣化スピードを減少させる試験を実施していた。
次に見かけた働くロボットは、自立移動型警備ロボット「SQ-2」(SEQSENSE、三菱電機提供)。「SQ-2」は巡回業務、立哨業務、動哨業務を担う。
警備中はロボットに搭載されたカメラで映像モニタリングが可能で、異常を検知すると通話システムで対話対応、巡回時に撮影した画像にて巡回レポートの自動作成・ロボットが撮影した映像をリアルタイムで解析することで、不審物の異常を検知することができる。 搭載している周辺感知センサーにより人にぶつかることもなく、また、エレベーター連携システムによりフロアの上下の移動も可能だ。
そのほかにも、お掃除ロボット「Whiz」が黙々と掃除する様子を見かけた。ビルメンテナンスにおいて大きな負荷になっている清掃業務を分担することで、清掃化の効率化を実現している。
内覧会時点では運用されていなかったが、ビル内のコンビニ「ローソン Modei T 東京ポートシティ竹芝店」には、陳列作業を担うロボット「Modei-T」(Telexistence提供)が 働く予定だ。
リアルタイムデータの活用
東京ポートシティ竹芝オフィスタワーの最大の特徴は、リアルタイムデータを活用したさまざまなソリューションだ。ビル内にはいたるところにAIカメラや3Dセンサーがあり、さまざまなリアルタイムデータを収集・解析し活用している。
混雑回避
ビル内に30カ所あるデータ連動型サイネージ(ソフトバンク、PDC提供)は、施設のお知らせや飲食店舗の空席情報だけでなく、施設内の混雑状況や外部の交通情報などのデータと連動し、時間帯や空席率に応じて割引や限定クーポンをデジタルサイネージ場で配信することで、集客の向上につながるとしている。
また同ビルでの就業者には「ワーカーアプリ」が提供される。同アプリを利用することで、ロビーやエレベータホールなど、ビル内施設の混雑状況や気温・湿度といった環境情報が携帯端末やPCなどで確認することが可能だ。
感染症対策も
6階オフィスロビーのセキュリティゲートにはAI温度検知・顔認証システム「SenseThunder-E(日本コンピュータビジョン提供)」を導入しており、エレベーター行き先システム「エレ・ナビ(三菱電機提供)」を連携させている。
顔認証システムとビルのセキュリティシステムおよびエレベーター制御システムを連携させることで、完全非接触な入館やフロア移動と混雑を避ける効率的なエレベーター運行を実現している。
ビルマネジメント効率化
BM(ビルマネジメント)業務に関してもリアルタイムデータ活用は有効だ。
ソフトバンクが提供する「BMアプリ」は、「施設内のヒートマップ」、「警備員の位置情報」、「要注意人物検知」、「立ち入り禁止区域の監視」などの情報を警備員用のグループアプリに随時配信し、迅速な対応と情報連携を可能にしている。
店舗のマーケティングを支援
店舗テナント向けのアプリも用意されている。「店舗テナント向けマーケティング」(ソフトバンク提供)は、AIカメラやWi-Fiのデータを活用して施設利用者の傾向情報を分析し、各店舗テナントへレポートを提供する。店舗利用者向けの施策や来店者用ツールに活用することで「数値に基づいたマーケティング」を支援する。
具体的には、日別や曜日別の施設全体での利用者傾向情報や店舗ごとの利用者データを分析し、レポートを提供することで「売り上げ予測」や「在庫管理最適化」をサポートする。
5Gが完全実装されたビル
オフィスタワーの全フロアに5Gが実装されている。内覧会では5G技術を活用したさまざまなデモが実施されていた。
「スマートビル」という称号にふさわしい同オフィスタワーが今後、どのようになっていくのか楽しみである。皆さんも是非一度足を運んでみて「近未来」を体験してみてはどうだろうか。