ロシュ・ダイアグノスティックスは、重症急性呼吸器症候群を引き起こす新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に暴露した人々に存在する抗体を検出することが可能な抗体検査薬「Elecsys Anti-SARS-CoV-2」を開発したと発表した。

PCR検査と比べ、比較的容易にウイルスに感染した人、特に感染した可能性があるものの症状の発生を伴わなかった人を判別するのに役立つ抗体検査の活用が期待されている。しかし、その一方で感度の問題なども危惧されており、その利用については賛否が分かれている。

同検査薬は血清および血漿中のSARS-CoV-2に対する抗体(IgGを含む)を検出する体外診断薬用のイムノアッセイで、新型コロナウイルス感染による免疫能獲得の存在を示唆する抗ウイルス抗体を検出することを可能とするもの。世界中の病院検査室ならびに検査会社で活用されている同社の免疫分析装置による検査が可能で、全自動分析装置を活用する場合は約18分の測定時間で済み、1時間当たり最大300テストの測定が実施できるという。

同社では、同抗体検査薬を用いた検査は、ウイルス感染によってもたらされる疾患症状の拡散状況を把握するための疫学的研究や、遺伝子検査と併用してウイルス感染が疑われる人に対する診断にも役立つと考えられると説明している。

なお、同検査薬について同社では2020年5月初旬までに体外診断用医療機器に関する欧州指針に基づく包括的な技術検証と自己宣言の完了により付与されるCE-IVDマーキング(CEマーク)の取得、ならびに米食品医薬品局(FDA)の緊急使用許可(EUA)の取得を目指しているとしているほか、6月までに毎月の生産量を数千万テストにする計画を立てており、できるだけ早くさらなる増産に取り組んでいくとしている。