東京海上日動火災保険とALBERTは3月17日、ドライブレコーダーで取得した映像などからAIが事故状況を再現し、自動車事故の責任割合を自動算出する新機能を導入すると発表した。新機能である「事故状況再現システム」により、事故の発生後速やかに事故の詳細な状況や車両の損傷カ所とこれらをもとに自動判定した責任割合を確認でき、事故の迅速な解決と迅速な保険金のお支払いにつなげることができるという。

  • 新機能のイメージ

    新機能のイメージ

昨今、危険運転や高齢者事故の増加に伴い、ドライブレコーダーの需要が高まっており、同社が提供するドライブレコーダーを活用した自動車保険の特約サービス(DAP/DA)においても、昨年12月時点で約36万5000件の契約があったという。

これまでもドライブレコーダーを活用した自動車の事故防止・削減や、安心・安全を提供する事故対応サービスを提供していたが、事故の当事者双方に責任が発生する事故の場合、示談交渉に向けた情報整理が必要になるため、顧客のヒアリングや資料作成などに一定程度の時間を要していた。

そのような中、ALBERTとは損害保険領域におけるビッグデータ分析、AIアルゴリズム開発、AIシステム実装、AIを活用した業務効率化などで連携し、顧客の負担軽減を図ってきたという。両社は、これまで以上に迅速な事故解決と保険金の支払いの実現を目指し、ドライブレコーダーとAIなどの最先端のデジタル技術を活用した新たな事故対応サービスを提供する。

新機能は、東京海上日動が自動車保険の特約サービスとして貸与するドライブレコーダー端末が強い衝撃を検知すると、端末から自動で同社の事故対応を行うオペレーターに連絡し、録画された事故映像が送信される。受信した事故映像のほかに、端末の加速度センサやGPSから得られた情報をもとに事故の状況をAIが解析することで、システム上に事故の状況を自動的に再現することができることから、説明のための負担を減らすことができるという。

これにより、事故の形態、車両の損傷カ所、道路形態などに関する情報と、これらをもとにAIが自動判定した責任割合を速やかに確認できるようになるため、事故の迅速な解決と迅速な保険金の支払いにつなげることを可能としている。なお、AIで自動判定する責任割合は過去の判決事例などから算出した参考値であり、同社はこれに基づきすぐに保険金を支払いするのではなく、打ち合わせの上で保険金を支払う。

期待される効果としては、事故現場の調査が必要な場合などは事故状況の確認に1週間程度時間を要しているが、事故のデータ受信後5分程度でAIが事故状況や責任割合などを算出し、迅速な事故状況の把握、解決につなげることができるという。

また、AIの解析結果を用いて事故状況確認を行うため、事故状況説明にかかる顧客の負担を小さくすることができるほか、解析結果は「お客様向けご案内資料」として関係者に事故説明をする際のサポートツールとして活用することを可能としている。