鹿島建設と竹中工務店は1月31日、建設業界全体の生産性・魅力向上を図るため、ロボット施工・IoT分野における基本合意書を締結した。両社は「建設RX(Robotics Transformation)プロジェクト」チームを立ち上げ、すでに開発済み技術の相互利用などに着手しおり、今後の技術開発においても合意書に基づき積極的に協働を進めるとともに、こうした取組みを広く業界全体に働きかけていくことにより、建設業が抱える諸課題の解決に尽力していくという。
建設業では、就労者の高齢化に伴う就労人口減少などの社会的背景を受け、将来の担い手確保や働き方改革の実現が喫緊の課題となっており、ゼネコン各社では施工ロボットやIoTを活用した施工支援ツールの開発を進めているものの、実際に使用する協力会社側はそれぞれ異なる操作方法を習得する必要があるなど、負担が大きいことも課題だという。また、各社で生産する施工ロボットの台数では、開発コストが回収できるまでの量産は難しく、結果的にロボットの本体価格が高額となり、現場への普及を妨げる要因となっている。
今回、両社の技術連携を進めることで、生産性の向上として類似の技術開発を重複して行っている無駄をなくし、施工ロボットの普及を加速させるほか、施工ロボットの普及加速により生産台数を増加させ、ロボット本体価格の低下につなげる。また、実際に使用する協力会社にとっては操作方法を習得するロボットの数が減るため、生産性の向上が見込めるという。
魅力の向上では業界内におけるロボット・IoT市場が拡大し、他産業からの積極的な参入が増えることで建設業自体の業務の幅が拡大させることに加え、生産性向上によるワークライフバランスの向上や処遇改善を実現させ、若年層の入職を促進するとしている。
今後、両社で「機械遠隔操作システム」や「場内搬送管理システム」を共同開発するほか、開発済み技術の相互利用として鹿島建設が開発した「溶接ロボット」、竹中工務店が開発した「清掃ロボット」を両社の現場で活用する。なお、適用結果は相互に共有し、さらなる機能向上を図るべく改良にフィードバックしていく考えだ。