Phoronixは12月11日(米国時間)、「Windows Subsystem For Linux Performance At The End Of 2019 - Phoronix」において、開発段階にあるWindows 10のWSLWindows Subsystem for Linux 2と、すでに出荷されているWindows 10のWSLのパフォーマンスなどの比較結果を伝えた。WSL 2はWSLよりもファイルシステム性能が大幅に向上すると考えられているが、ベンチマーク結果からはそれほどの性能向上が計測されなかったようだ。
ベンチマーク対象となったプラットフォームは次のとおり。
- Ubuntu 18.04.3 LTS
- Ubuntu 19.10
- Windows 10 Build 18362
- Windows 10 Build 19008
- Windows 10 Build 18362 WSL
- Windows 10 Build 19008 WSL
- Windows 10 Build 19008 WSL2
ベンチマークは多方面にわたって実施されている。それぞれのベンチマーク結果のポイントとして、以下が紹介されている。
- Windows 10 Build 19008は、Windows 10 Build 18362よりも概ね優れた性能を示している
- Windows 10 Build 18362 WSLとWindows 10 Build 19008 WSLにはほとんど性能差が見られない
- Windows 10 Build 19008 WSL 2は、WSLよりも少しだけ性能が良くなっている。特に高負荷I/Oとネットワークアクティビティが引っ張る形で性能を引き上げている
MicrosoftはWSL 2はWSLよりも高いファイルシステム性能を実現するとしていた。しかし、実際に計測されたベンチマークでは、ファイルシステムI/Oの特定のマイクロベンチマークで性能の向上が確認されているだけで、全体的に見るとそれほど性能の向上が確認できない状態になっている。
WSLはWindowsでLinuxバイナリを実行するための技術。WSLはレイヤ技術およびコンテナ技術を使っており、WSL 2はHyper-Vによる仮想環境技術を使っている。MicrosoftがWSL 2でWSLとまったく異なるアプローチを採用した理由は不透明。その理由の1つとして、ファイルシステムの性能向上があったが、当初言われていたほどファイルシステム性能は向上しない可能性が出てきた。
WSL 2は2020年5月または6月に公開が予定されている次のWindows 10フィーチャーアップデートでの導入が予定されている。