新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は12月9日、「生体情報のリアルタイム計測デバイスの開発」プロジェクトの成果を活用し、アジア航測などが、スポーツ選手用の生体・位置情報計測機器(リアルタイムセンシングデバイス)を用いたチームスポーツ向けの戦術立案・チームマネジメントシステムを開発したと発表した。

2017年3月に経済産業省およびIoT推進ラボが開催した、第3回先進的IoTプロジェクト選考会議(IoT Lab Selection)において、アジア航測、美津濃(ミズノ)、関西大学の合同チームがファイナリストに選定され、その後はNEDOの委託事業でアジア航測などでは、2017年度にスポーツ選手の人体に装着できる生体・位置情報計測機器(リアルタイムセンシングデバイス)を開発し、デバイスに搭載した位置情報センサ・心拍センサ・9軸センサで試合中の各選手のパフォーマンスに関連する情報を、複数のデバイスから同時に高精度に取得するシステムを構築。

一般的なデバイスで取得する位置情報は、数メートルから数十メートルの精度誤差が生じるが、開発したデバイスは日本の準天頂衛星を含むGNSS(全球測位衛星システム)を活用したReal Time Kinematic(RTK)処理で、誤差1m未満と、高精度に位置情報を取得することに成功したという。

また、心拍センサや9軸センサと組み合わせることで、より高精度に選手のパフォーマンスを測定することが可能となることに加え、取得した選手の情報をコーチや監督向けに可視化するシステムのプロトタイプを構築した。

そして、同事業終了後もアジア航測などがシステムの開発を進めたことで、今回、チームスポーツ用マネジメントシステム「SENQ(センク)」を構築。

SENQは、試合中のスポーツ選手の高精度な位置情報や動作・心拍情報をリアルタイムに収集・解析することで、走行距離、トップスピード、加減速回数などのパフォーマンスを定量化・可視化し、プレー成功率の予測、選手の交代タイミングなど、監督・コーチの意思決定支援や選手とのコミュニケーションの円滑化を実現し、高度な戦術立案・チームマネジメントを可能にするシステムとなる。

  • 「SENQ(センク)」のイメージ

    「SENQ(センク)」のイメージ

アジア航測では、2020年1月7日~10日まで、米ネバダ州ラスベガスで開催される「CES 2020」Eureka Park内JAPAN TECHブースに出展し、成果に関するデモンストレーションを実施し、SENQの詳細については、CES 2020に向けてSENQの公式ウェブサイトで順次配信を予定している。

今後、アジア航測(株)は、ミズノ、関西大学とともに、早期にSENQの事業化を進め、同システムの普及を通じて、プロ選手から一般ユーザーまで広く提供できる「スポーツ×IoT×AI」によるインテリジェンスプラットフォームビジネスの実現を目指す方針だ。