ソニックウォールは10月7日、説明会を開催し、ソニックウォール・ジャパン 代表取締役社長を務める本富顕弘氏が、日本市場における戦略と注力するソリューションを紹介した。
同社は2012年にデルに買収されたが、2016年には再び独立している。本富氏は昨年末に同社に参画し、率いている。同氏は「今まで、90%以上の売上をUTMが占めていたが、今後は50%は他の製品で売っていくようにする。また、これまではSMBを主な販売ターゲットとしてきたが、今後はミッドマーケットにも広げていく。現在、300万円以下の案件が売上の65%を占めているが、今後は300万円以上の案件が65%の売上となるよう、目標を定めている」と説明した。
本富氏は、日本市場において優先的に進める施策として「チャネル強化」「Secure SD-Branch」「Security Platform」の3点を挙げた。
チャネル強化としては、トップ30パートナーとの連携強化、特定製品のパートナー開拓、特定分野の顧客パートナー開拓などを進める。ミッドマーケットについては、もともと競合に比べて自治体や大学で成功していることから、ハイタッチセールスに取り組むという。
2つ目の施策である「Secure SD-Branch」は、SD-WAN製品を中小・中堅企業、企業ネットワーク、分散環境、サービスプロバイダーに積極的に販売していくことを意味する。「ソニックウォールがSD-WAN製品を持っていることをアピールしていく」と本富氏。
3つ目の施策は、統合プラットフォーム「Security Platform」の訴求だ。同社は、クラウド上に「Security Platform」を構築して共通の基盤として、ネットワーク、Wi-Fi、モバイル&エンドポイント、電子メール、クラウド、IoTに関するセキュリティソリューションを提供する。本富氏は「クラウドを活用して、統合セキュリティプラットフォームを提供しているベンダーとしてアピールしていく」と述べた。
次に、本富氏は日本企業に注目してほしい独自技術として、「RFDPI( Reassembly-Free Deep Packet Inspection)」「RTDMI(Real Time Deep Memory Inspection)」を挙げた。
「RFDPI」はサンドボックスで、検査パケットを再構築せずにスキャンする点を特徴とする。本富氏は「競合ベンダーは、パケットを再構築して検査をしているので、大きなファイルを処理しなければならない場合、止まってしまう。そのため、ファイルの容量に制限を加えるなどしている。これに対し、われわれはパケットのまま検査するので、遅延を押さえることができ、ファイルのサイズも無制限。ネットワークの速度を犠牲にしない」と、RFDPIのアドバンテージを説明した。
一方、「RTDMI」は同社の4つ目のサンドボックスで、特許申請中だという。具体的には、CPU/メモリレベルでPDFファイル、Officeファイル、スクリプトファイル、実行ファイルの検査を行う。そのため、昨年話題になったインテル製CPUの脆弱性「Meltdown」「Spectre」を悪用する攻撃にも対応できるという。
さらに、本富氏は日本市場で注力する製品として、「Capture APT」「Capture Security Center 」「Capture Client 」「Cloud App Security」「SonicWave」の5つを挙げた。
「Capture ATP」は、自動修復機能を利用してゲートウェイでランサムウェアなどの未知のゼロデイ攻撃を阻止するサービス。前述した「RFDPI」「RTDMI」など4台のサンドボックスエンジンを用いる。本冨氏は「企業に導入されているサンドボックスはそろそろリプレースの時期を迎えている。導入時の検知率も変わっていると考えられ、われわれにとってはチャンスと考えている」と語った。
「Capture Security Center」は同社製品を統合管理できるクラウド上のダッシュボードであり、エンドポイント保護製品「Capture Client」である。「Capture Client」は、ランサムウェア対策として、感染したWindows PCを以前のクリーンな状態にロールバックする機能を備えている。
「Cloud App Security」は、SaaSアプリケーションの電子メール、データ、ユーザー証明書を保護するためのサービスで、本冨氏は「お手軽なCASBととらえていただければ」と語っていた。「SonicWave」は無線LANのアクセスポイントで、マルウェア対策やURLフィルタリングといったセキュリティの機能を搭載している。