NECとMXモバイリング、クレセントの3社は7月29日、上智大学の協力を得て、5G時代の新たなビジネスモデルやサービスを創出するための共創プロジェクトを立ち上げ、6月に遠隔教育の体験学習を提供したと発表した。5Gは超高速・大容量通信、多数同時接続、低遅延という特徴を持ち、さまざまな分野での新たなサービスの登場が期待されており、NECはこうした可能性を追求するため企業とパートナリングを組み、オープンイノベーションを促進して新たなビジネスを創出する「5G Co-Creation Working」を昨年12月に立ち上げた。今回、同ワーキングの中で3社がプロジェクト立ち上げ、一環として体験学習を提供した。

  • 体験学習の概要

    体験学習の概要

プロジェクトではワーキンググループでの議論を通して、遠隔地の人々を身近に感じてインタラクティブなコミュニケーションできるプラットフォームを構築することで、Eコマースや遠隔ライブなど多様な分野において新たな可能性が生まれると考え、その一つの適用例として教育を選択。

教育現場では教員が多忙すぎることに加え、専門領域授業の受講に地域格差があることが社会課題となっており、課題を解消し、親密なコミュニケーションが行える授業の実現に取り組むことにした。

今回、LTEでネットワークを構築し、都内の各社のオフィスや上智大学の延べ4拠点を結び、プレゼンテーションやディスカッションを実施。各教室やオフィスの様子に臨場感を与えるため、複数の遠隔地の様子を一つの視野に収めるためのスマートグラスや、参加者のリストバンドを介したNECの感情分析ソリューション、映像データを基にした表情分析ソリューションを利用した。

プロジェクトにおける各社の役割分担として、NECは感情分析ソリューション、表情分析ソリューションの提供、プロジェクト管理、上智大学は授業(科目名:「社会的価値創出のためのプロジェクト形成論」講義担当:戸田裕昭氏(非常勤講師))でのプロジェクト協力、および同科目履修学生による体験学習への参加、MXモバイリングは双方向映像配信システム、ARアプリケーション及びLTEネットワークの構築、クレセントはプロジェクトリーダーとして全体をコンサルティングした。

今回の授業を通して、遠隔授業であっても講師と生徒がともに臨場感のある授業を体感でき、リアルタイムに生徒の感情を可視化できることなどの成果が得られたという。一方で、音声や映像の遅延などによるストレスを感じる場面もあり、5G通信で明確に改善される課題も確認。今後、プロジェクトでは課題の解決策を検討しながら、新たなサービスの創出に向けて継続して活動を行う方針だ。