アクセンチュアは7月23日、今後3年間の銀行業界における主要なテクノロジートレンドを予測する調査レポート「バンキングテクノロジービジョン2019」の結果として、銀行の保有する顧客データや機能を外部企業に開放する「オープンバンキング」の動きが世界各地で加速しているのに伴い、銀行は自行のみならず、接続先企業を含むエコシステム・パートナーのセキュリティも強化していく必要があることが明らかになったと発表した。

同レポートによると、回答した銀行の経営幹部およびIT担当幹部の92%は、銀行のエコシステム・パートナーにおける顧客からの信頼獲得が「とても重要」または「極めて重要」と述べている一方で、「自行のエコシステム・パートナーが、セキュリティに関するコンプライアンスや復旧への対応に真摯に取り組んでいる」と感じている回答者は31%にとどまったという。

銀行が新しいテクノロジーを採用する主な目的は、顧客との親しい関係を取り戻し、小さな町の銀行での取引に似た体験を再現することだとし、回答者の大半が、デジタル動態統計の活用により、潜在的な顧客ニーズ発掘に向けた新たな市場機会の見極めが可能になる(85%)、また顧客を理解するためのより強力な手段となる(83%)と考えており、顧客行動への理解を深めることで、銀行はクレジットカード詐欺などから顧客を守ることなどが可能になるという。

また、回答者の78%が、5Gは銀行業界に革命をもたらし、金融アドバイスをシームレスに提供できる高速の動画伝送など、商品やサービスの新しい提供方法が可能になると述べている。そして、回答者の55%が、5Gが業界に大きな影響をもたらすのは3年以内と考えており、20%は4〜5年以内と回答しているという。

さらに、回答者の47%が今後3年間で自行に最も影響を与えるのはAIだと考えており、銀行はAIを活用した運営を強化することでコストを20〜25%削減できるとしている。なお、半数以上の銀行が1事業部門以上でAIを検証中または導入している一方で、AIの導入予定がない、またはAI導入のための評価を実施していない銀行も20%存在しているということだ。

今後3年間で自行に最も大きな影響を与えるのは量子コンピューティングと述べた回答者は19%で、分散型台帳/ブロックチェーン技術は17%にとどまった。ブロックチェーン技術の早期導入者が意欲を喪失しつつある可能性も考えられるとしている。

さらに、銀行経営幹部の74%は、デジタル化に対して行員の方が銀行組織よりもうまく対応しており、逆に行員は銀行組織が自分たちのレベルに追いつくのを待っている状況にあると考えているという。さらに、回答者の45%は、行員の40%以上がすでにスキルアップが必要とされる新たな役職に異動したと答えており、71%は行員の40%以上が3年以内にスキルアップが必要とされる新たな役職に異動すると考えているとのことだ。