テレワークマネジメント 代表取締役 田澤由利氏

続いて、テレワークマネジメント 代表取締役の田澤由利氏が、テレワークの普及と導入を阻む「壁」について説明した。

田澤氏は「テレワークに関する定義が2年半前くらいに変わった。以前は、ICTを活用して『場所や時間にとらわれない柔軟な働き方』だったが、『時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方』になった。というのも、『場所や時間にとらわれない』という表現は、従業員と経営層の双方にとってマイナスのイメージがあったから」と語った。

ちなみに、総務省が発表した「平成30年 通信利用動向調査」によると、テレワークを導入している企業は19.1%、導入予定がある企業は7.2%だった。約4社に1社がテレワークを導入していることになる。この結果について、田澤氏は「テレワークの導入率が数%を知っている私からすると、確実に増えており、嬉しい結果」と話した。

田澤氏はテレワークに関するにコンサルティングを行う企業を運営しているが、同氏の経験から分析した、企業においてテレワークの導入を阻む壁として4つ挙げた。

1つ目の壁は「必要性を認識する壁」だ。まず、いろいろな理由を見つけて、自社にテレワークは必要ないと考える企業があるという。

テレワークを導入する必要性を理解した企業が次にぶつかる壁が「導入の壁」だ。「コストがかかる」「人手が足りない」など理由はいくつもある。

何とかテレワークを導入した企業もさらに次の壁「テレワークの効果を出す壁」が待ち受けている。「テレワークによって生産性が低下する」「テレワークがしにくい」「期待した効果が出ない」など、今、この壁に悩んでいる企業が多いそうだ。

これら3つの壁を乗り越えた後、最後の壁「当たり前の働き方にする壁」に取り組むことで、「ワークライフバランスの向上」「生産性の向上」「採用力の向上」「障がい者雇用」「災害対策」を実現した真の働き方改革に到達する。

田澤氏は「大変だから、テレワークをやらないというのは間違っている。スタートアップなど、これからできる企業はテレワークが当たり前になっている。既存の企業は採用面でこうした企業と戦わなくてはならなくなる」と、企業としての競争力を高めるためにもテレワ―クが重要だと強調した。

  • テレワークの導入と普及を阻む4つの壁