ピュア・ストレージ 会長兼CEO チャーリー・ジャンカルロ氏

ピュア・ストレージ・ジャパンは6月25日、本社会長兼CEOであるチャーリー・ジャンカルロ氏の初来日に合わせ、事業戦略に関する記者会見を開催した。

初めに、ピュア・ストレージ 会長兼CEOのチャーリー・ジャンカルロ氏が、グローバルおよび日本市場における事業戦略について説明した。同氏は「われわれのミッションはデータ管理の将来を作り上げることであり、フラッシュストレージが未来を開く」と語った。

ビジネスを推進する上でデータ活用が重要となっている現在、「データを自由に使いこなすには、高速化が重要。また、必要な時にデータにアクセスすることを可能にするには自動化が必要。さらに、オンプレミスとクラウドの双方において同様の手法でデータを管理できなければならない」と同氏は指摘した。

同社はこうしたデータ活用における課題を、ソフトウェアによって制御するオールフラッシュのストレージによって解決しようとしている。

ジャンカルロ氏は同社独自のビジネスモデル「Evergreen Storage プログラム」にも言及した。同プログラムでは、容量、密度、パフォーマンス、機能のアップグレードを必要に応じて行える。ストレージを再購入することなく、複数世代にわたり、ソフトウェアとハードウェアのアップグレードを提供する。ストレージのサブスクリプションモデルと言える。

「われわれの製品は、ソフトウェアによってアップデートを行うので、システムを停止する必要がない。これができるのはピュア・ストレージだけ」と、ジャンカルロ氏は同社のアドバンテージを示した。

こうした同社のビジネスモデルが顧客に価値として受け止められている結果として、Dell EMC、NetApp、IBM、HPEといった競合は成長の横ばいが続く中、同社は順調に成長しているという。

  • ストレージベンダーの成長比較

ピュア・ストレージ 戦略部門副社長 マット・キックスモーラー氏

続いて、戦略部門副社長のマット・キックスモーラー氏がグローバルの製品戦略について説明した。キックスモーラー氏は、「データはデジタル変革の中核を担う。われわれの製品はデータ管理の複雑さを解消して、デジタル変革を加速させる」と語った。

同社は、データ管理の「簡易性」「効率性」「最新性」をキーワードとして、製品をリリースしているという。

キックスモーラー氏は、同社の製品によって得られるメリットとして「アプリケーションの高速化」「マルチクラウドの構築」「データ保護の近代化」「データハブの構築」「DevOpsの高速化」を挙げた。

「高速化」については、Tier1のアプリケーションにおける高速性を実現しているほか、NVMeに対応したオールフラッシュへの統合によって、さらに10倍高速になる可能性があるという。

「マルチクラウド」については、「パブリッククラウドを使いたい」という企業のニーズに応えることを目指している。マルチクラウドの運用においては自動化を重視しており、APIによってフレキシブルに実現している。

「データ保護の近代化」については、フラッシュストレージからの高速リカバリの実現が紹介された。バックアップの速度が1時間当たり25TBであるのに対し、リストアの速度は1時間当たり15TBまで出るという。キックスモーラー氏は「オールフラッシュのリカバリの経済性の高さ」をアピールした。

「データハブの構築」に向けては、フラッシュブレードが開発された。フラッシュブレードはビッグデータの分析に加えて、AI活用にも活用することができるという。

「DevOpsの高速化」については、「あらゆる業種の企業、組織がソフトウェアを使っている。したがって、ソフトウェア・エンジニアの生産性を上げることが重要。そこで、開発上流にわれわれの製品を使ってもらうことで、開発のスピードを上げてもらいたい」と、キックスモーラー氏は語った。

  • ピュア・ストレージの製品群

ピュア・ストレージ・ジャパン 代表取締役社長 田中良幸氏

国内の市場戦略については、ピュア・ストレージ・ジャパン 代表取締役社長の田中良幸氏が説明を行った。

田中氏は、経済産業省が発表した「2025年の崖」によって最大で年12兆円の経済損失が生じる可能性があるが、企業は「2025年の崖」にどう準備するかどうかが今後の課題となると指摘した。

「2025年の崖」への対策としては、データ管理の方針を定めることが必要であり、同社はデータ管理のカギとして「データ・セントリック・アーキテクチャー」をグローバルで掲げている。

田中氏は、日本では、産業ごとに「データ・セントリック・アーキテクチャー」の推進を戦略に定めていると説明した。具体的には、もともと同社の顧客が多い「クラウド/サービスプロバイダー」「ヘルスケア」「公共」に加え、「金融」「製造」「流通」をターゲットに据えている。

今年、東京のオフィスを拡大したことに伴い、組織も産業別に編成したという。加えて、西日本と中部に支社を構え、地域に特化したビジネスも始まっている。

同社は販売代理店のネットワークを持っているが、今回、柔軟な展開を行うため、富士通クラウドテクノロジーズとの協業が発表された。富士通クラウドテクノロジーズは、ピュア・ストレージのアジア太平洋・日本地域(APJ)の初のマネージドサービスプロバイダー(MSP)プログラムパートナーとなる。

富士通クラウドテクノロジーズは、ピュア・ストレージのEvergreen SubscriptionモデルおよびEvergreen Storage Service(ES2)を利用し、アジア太平洋・日本地域における「ニフクラ」の展開を推進する。