ピュア・ストレージ・ジャパンは3月14日、都内で記者説明会を開催し、「ObjectEngine」と「DirectFlashファブリック」を発表した。

ObjectEngineは、米Pure Storageが昨年買収したStorReduceのクラウドネイティブなテクノロジーとビッグデータやアナリティクス、クラウドのオブジェクトデータなど非構造化ワークロード向けのブレード型製品「FlashBlade」を組み合わせており、クラウドとオンプレミスの環境間における高速バックアップとリカバリにより、両環境をシームレスに連携させるという。

米Pure Storage 戦略部門副社長のマット・キックスモーラー氏は、新製品について「ユーザーはリストアの速度を早くするためにFlashBladeを利用していたため、フラッシュとクラウドを組み合わせてソリューションを作れないかと考えた」と述べた。

  • 米Pure Storage 戦略部門副社長のマット・キックスモーラー氏

    米Pure Storage 戦略部門副社長のマット・キックスモーラー氏

同社ではアプライアンス製品の「ObjectEngine//A」とクラウド向けの「ObjectEngine//Cloud」を提供し、ObjectEngine//Aは重複排除エンジンにより、バックアップ性能を25TB(テラバイト)/時、リストア性能を15TB/時を提供し、ストレージと帯域幅のコストを最大97%削減できるという。

ObjectEngine//Cloudは、クラウドオブジェクトストレージの仮想化レイヤによるセキュアなエンタープライズ向けプラットフォームにより、クラウドにおける 99.999999999%の可用性を提供し、(Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)インタフェースによるオープン性、統合性、データ移植性を保証するとしている。

内部複製されたグローバルな名前空間により、ハイブリッドクラウド環境におけるデータの一元管理を実現することに加え、リニアにスケールし、クラウドにおいて100PB(ペタバイト)超の容量、100TB/時の性能を実現するという。

  • 「ObjectEngine//A」と「ObjectEngine//Cloud」の概要

    「ObjectEngine//A」と「ObjectEngine//Cloud」の概要

従来のデータ保護対策は、データを戦略的な価値をもたらすものではなく、保管が煩わしいものと捉えられていたほか、重要なデータのリカバリに数時間、数日を要していたが、ObjectEngineはオンデマンドでのリストア、およびクラウド上のデータ利用を可能としている。

従来のソリューションは「ディスク→ディスク→テープ(D2D2T)」をベースに構築されてきたが、そのようなソリューションではホットデータ(頻繁にアクセスされるデータ)とウォームデータ(アクセス頻度が比較的低いデータ)はディスクに保存され、過去のデータやバックアップデータはテープに保存した上で大半はアクセス不能な場所に保管されている。

また、従来型のバックアップ専用アプライアンスはバックアップ性能にのみ最適化されており、リストアにはバックアップよりも時間を要しているが、現状では過去のデータは価値の高い資源となっており、迅速なアクセスが求められているという。

ObjectEngineは「フラッシュ→フラッシュ→クラウド(F2F2C)」を可能とし、現行のバックアップワークフローを変更することなく、バックアップとリストアのSLAを担保することを可能としているほか、Veritas、Veeam、Commvaultなど、主要なバックアップソフトウェアを利用してデータ保護プロセスを構築している環境にも対応している。

  • 「フラッシュ→フラッシュ→クラウド(F2F2C)」によるデータ保護の概要

    「フラッシュ→フラッシュ→クラウド(F2F2C)」によるデータ保護の概要

キッスモーラー氏は「競合他社の1PBのデータ保護のソリューションと比較すると4.5ラックも必要だが、ObjectEngineとFlashBladeを組み合わせれば3分の1ラックでまかなえる。また、従来のバックアップソリューションよりもパフォーマンスもスケールでき、リストアの速度が劇的に改善する」と、アピールしていた。

NVMeとNVMe-oF(NVMe over Fabrics)のサポート機能「DirectFlashファブリック」

DirectFlashファブリックは、フラッシュストレージ「FlashArray//X」製品のソフトウェア定義のエンジンである「Purity 5.2」にNVMeおよびNVMe-oF(NVMe over Fabrics)のサポート機能。エンタープライズにおけるハイブリッドクラウドの導入を容易にし、場所を問わずアプリケーションの利用とデータの保護を可能としている。

ミッションクリティカルなアプリケーションに加え、これまで直接接続ストレージ(DAS)に依存していたWebスケールアプリケーションの性能向上を可能とし、NVMe-oF RoCE(RDMA over Converged Ethernet)の広範なサポートを提供するという。NVMe-oF RoCEは、エンタープライズにおいてアプリケーションとフラッシュ媒体をより密接に連携させ、データのリアルタイムなアクセスと統合を強化するとしている。

  • 「DirectFlashファブリック」の概要

    「DirectFlashファブリック」の概要

また、DirectFlash ファブリックは高速ネットワークにより、ストレージコントローラとホストの間の最適化を可能としており、NVMe-oF RoCEはiSCSIと比較してレイテンシを50%低減するほか、DirectFlashの技術をNVMe-oFに対応させることでネットワークの効率性を高めるという。

特にRed Hat Enterprise LinuxやMongoDB、Cassandra、MariaDBなどのクラウドネイティブなWebスケールアプリケーションにおいて、エンタープライズクラスの共有型ストレージのメリットと効率性を図ることを可能としている。

キックスモーラー氏は「DASと比較し、速度が速く、無駄がないためストレージを効率よく運用できることに加え、プロビジョニングをオンデマンドでAPIを通じて行うことができる」と、強調していた。