クラウドテクノロジーに関する年次イベント「CloudNative Days Tokyo 2019 / OpenStack Days Tokyo 2019」が7月22日・23日に虎ノ門ヒルズフォーラで開催される。クラウドを利用している開発者やビジネスユーザから、これからクラウドを導入したいと考えているCTOまたはCIOといった経営層までを主な対象としたイベントだ。

今年のテーマは「+Native ~クラウドからクラウドネイティブへ~」だ。これまでは「クラウドを使うかどうか」が議論の焦点だったが、クラウドを利用することが前提となった現在、今年のテーマにはさらに踏み込んでクラウドを活用することまで含まれているようだ。

また、「OpenStack Days Tokyo」「Cloud Native Days Tokyo」「Japan Container Days」は昨年まで、別のイベントとして開催されていた。しかし、今年はCloud Native Days TokyoとJapan Container Daysは「CloudNative Days Tokyo」として統合し、さらに「OpenStack Days Tokyo」との同時開催という形になった。「OpenStack Days Tokyo」はコミュニティ運営団体であるOpenStack Foundation (OSF)公認の唯一の日本国内カンファレンスで、今年で7年目の開催となる。

「CloudNative Days Tokyo 2019 / OpenStack Days Tokyo 2019」の最大のポイントは、クラウド関連プラットフォームが一堂に会することだ。クラウドプラットフォームは成長の段階にあり、さまざまなサービスが存在している。そうしたサービスを調べる上でも、1つの場所にサービスやプロジェクトの出展が集まっているというのは価値のあることと言える。

海外にも同じようなイベントあり

Open Infrastructure Summit Denverの様子を伝える日本OpenStackユーザ会会長 日本電信電話 水野伸太郎氏

こうしたクラウドに関するサミットは日本だけで開催されているわけではない。直近では、米国のデンバーで開催された「Open Infrastructure Summit Denver」が類似のイベントだ。このイベントの開催直後、米国ボストンで「Red Hat Summit 2019」が開催されたわけだが、Open Infrastructure Summit Denverの影響を少なからず受けたことは、Red HatでVice President Of Productsを務めるJoe Fernandes氏も言及していた。

OpenStackはRed Hatの掲げる事業戦略3本柱の1柱を担っている。にもかかわらず、Red Hat Summit 2019におけるOpenStackの注目度はほかのプロダクトと比較するとそれほど高くなかった。

この点について、Fernandes氏は「前の週に開催された「Open Infrastructure Summit Denver」でOpenStackに関する発表が多く行われたため、Red Hat SummitではOpenStack関連の発表は抑え気味に調整されたのかもしれない」といったことを話していた。OpenStackは別イベントで集中的に発表するほど重要なプロダクトということだ。

こうしたイベントは米国のみならず、欧州や中国でも開催されている。名称はさまざまだが、クラウドプラットフォームに関連するイベントは世界中で定期的に開催されているというのが現状だ。

「CloudNative Days Tokyo 2019 / OpenStack Days Tokyo 2019」はこうした海外のイベントに参加することなく、クラウドプラットフォーム関連の情報を日本国内で一気に得られるという点で興味深い。さらに、日本語で情報が得られる点も貴重だ。海外のイベントは英語がコミュニケーションの基本となるため、英語が苦手な人にとっては参加のハードルが高い。

基調講演で注目すべき2人の人物とは?

CloudNative Days Tokyo 2019 / OpenStack Days Tokyo 2019の見どころについて語るCloudNative Days Tokyo 2019共同委員長 Pivotalジャパン 草間一人氏

CloudNative Days Tokyo 2019 / OpenStack Days Tokyo 2019の見どころについて語るCloudNative Days Tokyo 2019共同委員長 Pivotalジャパン 草間一人氏

「CloudNative Days Tokyo 2019 / OpenStack Days Tokyo 2019」で注目すべきはやはり基調講演だ。1日目には次の2人の基調講演に注目しておきたい。

  • OpenStack Foundation、COO Mark Collier氏 - OpenStack Foundation立ち上げ当時からプロジェクトを支えているMark Collier氏によるOpenStackに関する発表
  • Airbnb ソフトウェアエンジニア Melanie Cebula氏 - AirbnbにおけるKubernetes採用事例。厳しいレイテンシや稼働時間が要求される数百におよぶレガシーサービスをKubernetesへ移行したケーススタディを発表

2日目には次の基調講演が予定されている。

  • 楽天モバイル Ashiq Khan氏 - 世界初の完全仮想化クラウド型モバイルネットワークについて発表
  • SBペイメントサービス シニアアーキテクト、鈴木順也氏 - SpringおよびPCFで開発するクラウドネイティブシステム開発について発表

今年の基調講演では、OpenStack FoundationのMark Collier氏の発表に加え、クラウドプラットフォームを活用してシステムを構築した企業の話を聴くことができる。現在提供されているサービスやプラットフォームを使って、どのようなことができるのかを知ることができるようだ。