日本オラクル 取締役 執行役社長 最高経営責任者 フランク・オーバーマイヤー氏

日本オラクルは5月8日、同社が第2世代と呼ぶ「Generation 2」クラウド・インフラストラクチャのデータセンターの東京リージョンに開設して運用開始したと発表した。今後6カ月以内に、大阪リージョンも開設される計画。

「Generation 2」は、会長兼最高技術責任者のラリー・エリソン氏が2018年10月に開催された年次イベント「Oracle OpenWorld 2018」で発表。Generation 2のデータセンターはすでに欧米で運用が始まっている。

取締役 執行役社長 最高経営責任者のフランク・オーバーマイヤー氏は、「今後6カ月以内に大阪リージョンの開設を予定しているが、これによりディザスタリカバリが可能になる。アマゾン ウェブ サービスやマイクロソフトといった競合に対する差別化のポイントは、われわれはインフラ、プラットフォーム、アプリケーション、サービスまでをクラウドで提供していること。さらに、クラウドにおいてハイパフォーマンスのデータ管理とエンタープライズレベルのセキュリティを提供できる」と、同社のクラウドサービスのアドバンテージを説明した。

執行役員 クラウドプラットフォーム戦略統括 竹爪慎治氏

続いて、執行役員 クラウドプラットフォーム戦略統括の竹爪慎治氏が、東京リージョン開設における事業戦略、提供するサービスなどについて説明した。

戦略としては、企業において基幹システムのクラウドへの移行が高まっていること、デジタルトランスフォーメーションの推進が期待されていることを踏まえ、基幹システムの利用に耐えうるサービス(The Enterprise Cloud)とイノベーションに適したサービス(The Innovation Cloud)を提供する。

竹爪氏は、「オラクルの製品にはイノベーションというイメージがないかもしれないが、デジタルトランスフォーメーションの成功を握っているのはデータの利活用。データを利用するにはその管理が重要であり、われわれの知見を生かすことができる」と、同社が企業のイノベーションに貢献できる理由を語った。

The Enterprise Cloudを実現するサービスとしては、「Exadata Cloud」「Oracle Cloud Infrastructure」を提供する。The Innovation Cloudを実現するサービスとしては「Autonomous Database」「HPU/GPU」「Containers Engine for Kubernetes」が提供される。

  • 東京リージョンにおける日本のクラウド市場と戦略

  • 東京リージョンにおけるクラウド戦略を実現するサービス

Generation 2のデータセンターで提供するサービスのうち、目玉となるのが「Oracle Autonomous Database」だ。Autonomous Databaseは、プロビジョニング、チューニング、運用、セキュリティ対策などを自動化することで、データベース構築者および管理者の手間を低減する。

オラクルは、Autonomous Databaseを「企業のデータ管理を変える製品」と位置付けているが、Autonomous Databaseは「Generation 2」でのみ稼働する。

東京リージョン開設に伴い、営業体制も整備する。期が変わる今年6月に、エンタープライズ向けのクラウドビジネスを推進する組織を開設する。この組織は、IT部門ではなく、これまであまり接点がない企業でイノベーションを推進するビジネス部門にターゲットに据え、Oracle Cloudの拡販を狙う。

従来の"第1世代"のデータセンターはGeneration 2データセンターにマイグレーションされることになり、現在、作業が進められているという。