ヤマハ発動機は3月8日、2019年3月より本格販売を開始する農業用マルチローター(ドローン)「YMR-08」や産業用無人ヘリによる水稲の春の種まきから秋の収穫までのさまざまな作業などのデータ管理や運用管理をスマートフォンやパソコンなどで簡単に行うことができるソフトウェアサービス(プラットフォーム)「Yamaha Motor Smart Agriculture Platform(YSAP)」の提供に向け、国際航業、トプコン、ウォーターセルの3社と協業して開発を行っていくことを明らかにした。

  • 4社の会見

    左から、トプコン スマートインフラ事業本部 国内IT農業推進部 部長の吉田剛氏、ヤマハ発動機ソリューション事業本部UMS統括部 統括部長の中村克氏、国際航業 営農支援サービス「天晴れ」チーム チームリーダーの鎌形哲稔氏、ウォーターセル 代表取締役の長井啓友氏

ヤマハ発動機は2030年に向けた長期ビジョンとして「ART for Human Posibilities」を掲げているが、今回の取り組みはこのARTのA(Advancing × Robotics)の価値を農業に提供することを目指したもの。日本の農業人口は年々減少傾向にある一方で、1戸あたりが耕地面積は拡大傾向にあり、効率化や省人化に対するニーズが高まっている。中でもドローンの活用は、農薬散布をはじめとしてすでに活用が進められており、同社の農業用ドローンも2018年1月段階で2781台(散布面積にして約104万ha)の稼働実績があるという。

YSAPは、無人ヘリやドローンといった農薬散布に最適化したソフトウェアで、生育状況に最適な農薬散布のタイミングや散布量の計画・管理を可能とする。農家が自身で、水稲の生育状況と比較して追肥をしたりすることができるほか、ウォーターセルが提供するクラウド型農業支援システム「アグリノート」との連携なども可能となっている。

  • YSAP

    YSAPの枠組みのイメージ

具体的な4社の役割としては、ヤマハ発動機がYSAPを提供。国際航業が観測衛星を用いた作物などの解析データを、トプコンがトラクターなどに備え付け作物の生育状況を非接触で正確にリアルタイム計測できるレーザー式生育センサ「Crop Spec」などで得た育成データをそれぞれ提供。そしてウォーターセルのアグリノートが、YSAPの田植えの日にちや農薬散布の日にちといった各種データを取り込み、従来から提供しているデータと一緒に農業従事者にデータの提供を行うといったものとなる。

  • YSAP
  • YSAP
  • YSAPの連携サービスの詳細

なお、ヤマハ発動機ソリューション事業本部UMS統括部 統括部長である中村克氏は「YSAPの役割は、どこの田んぼに対してどのように薬剤を散布するのかを、GIS情報を取り組んだうえで、どこの誰が何を管理するのか、ということを含め見える化することで、農業の効率化を図ること」と説明。単にハードウェアを提供するだけにとどまらず、最新のロボティクス技術やソフトウェアを含めたソリューションを提供していくという方針のもと、今までにない価値を農業分野に提供できるように注力していきたいとしている。

  • YMR-08
  • YMR-08
  • 2019年3月より本格販売が開始されるドローン「YMR-08」