日立製作所は3月5日、国立遺伝学研究所(遺伝研)のスーパーコンピュータ(スパコン)システムを構築し、稼働を開始したことを発表した。
今回稼働を開始したシステムの総理論演算性能は、従来システム比約2.2倍となる876.2TFLOPSで、これまで同社がライフサイエンス分野におけるスパコンシステムの構築、運用で培ったノウハウを活用し、高度なゲノム解析を支援するシステム環境を実現したほか、InfiniBandネットワークで相互接続される各ノードのリソースを論理的に分割可能とする構成を採用することで、ゲノム解析や各種データベース向けといった用途に合わせて、ノードを割り当てることができるため、システムのITリソースを柔軟、かつ効率的に活用することができるという。
また、AIによるゲノム解析環境の実現のため、GPUとして「NVIDIA Tesla V100」を採用するとともに、AIによる解析が可能なソフトウェアが整備されているほか、効率的なゲノム解析を支援することを目的に、研究者が必要とする各種アプリケーションやそれらが動作するライブラリをパッケージ化し、瞬時にゲノム解析環境を再現するHPC特化型コンテナ仮想化技術も導入しているとのことで、GPUによる高速アプリケーション解析環境を瞬時に利用できるようにすることで、環境構築の負荷を軽減し、ゲノム解析の効率化を図ることができるようになるとしている。
なお、同システムは、世界中の研究者が塩基配列データを登録する国際塩基配列データベースをはじめ、ゲノム関連の各種データベースを構築するITインフラとしても活用されるほか、AIによる高度な解析環境や、高いセキュリティ環境なども提供することで、Society 5.0がめざすゲノム医療による研究に寄与し、一人ひとりの特性に合わせた病気の治療や予防を行う、個別化医療などの実現に貢献するものだと同社では説明している。