テラスカイは11月28日、コミュニケーションプラットフォーム「mitoco」にAI chatbotによるアシスタント機能「mitoco アシスタント」を搭載し、2019年春にサービス提供を開始すると発表した。また、同日には事業戦略説明会を開催した。
mitoco アシスタントは、生産性の低い業務をユーザーの替わりに行うパーソナルアシスタント機能。例えば社内外の人とのスケジュール調整をチャットや音声の命令に従って行うほか、Saleforceに登録されている予定を音声で通知したり、Salesforce上の顧客情報や商談情報を調べて回答したりすることができるという。
テラスカイ 取締役 CTOの竹澤聡志氏は、mitoco アシスタントについて「新機能は周辺的雑務の極小化、情報の自動収集による判断の迅速化、自然言語で伝える必然性があるもの、この3つの観点から生産性向上を図るために開発し、ビジネスパーソン1人1人に対する秘書のようなものだ」と、述べた。
同機能の仕組みは、対話を構成するエンジンが意図を解析する自然言語解析モジュールと第三者が提供する情報を利用し、ユーザーが求める情報をチャットアプリなどのクライアントに返すというものだ。現在、LINE WORKS、Slackとの連携が決定しており、将来的にはAlexa for Businessと連携を予定している。
また、利用例としては複数人のスケジュールや会議室などのリソース調整とリマインド通知、メールの内容を解読した上でアポイントの候補日を連絡・調整・登録を自動で実行、Saleforceに登録されている顧客や商談などの情報を参照・更新、訪問先までの経路検索、出発時間のサジェスト・アラート、担当する顧客のニュースの自動通知などを想定している。
下期に向けた事業戦略
一方、テラスカイ 代表取締役社長の佐藤秀哉氏が2019年下期に向けた事業戦略に関して説明した。同社では、11月27日に東証マザーズから同第一部市場に変更しており、理由としては社会的認知度の向上と、信用力・資金調達力の向上を図り、事業規模の拡大・新規事業領域への展開を加速するためだという。
佐藤氏は下半期のキーワードとして「DX(デジタルトランスフォーメーション) Readyへの支援だ。顧客がITを活用する前段階をしっかりと支援する」と、胸を張る。
下半期は基本的には5月に発表した5つの施策「ポストモダンERPのLift & Shift」「AppExchange化支援」「次世代コンタクトセンター」「R&D部設立」「mitocoへの投資」に引き続き取り組んでいる。mitocoへの投資では、新機能であるmitoco アシスタントが該当する。
ポストモダンERPのLift & Shiftに関しては、8月にSAPを中心とした基幹システムのクラウド移行を手がけるグループ会社のBeeXとNTTデータがSAP基盤技術やシステム移行を中心としたクラウド事業分野において資本業務提携している。
AppExchange化支援では、大日本印刷が開発したビジネスアプリ「DNPパーソナライズドオファーサービス」を、Saleforceのマーケティングクラウド・プラットフォーム上で提供できるように支援し、2019年春から提供開始を予定。
次世代コンタクトセンターについては、LINEと提携し「オムニチャネル LINK for LINE カスタマーコネクト」を4月から販売を開始。これは、Salesforceのコールセンターのオペレーターが電話対応ではなく、チャットでメッセージのやり取りができるというものだ。
R&D部の設立に関しては、機械学習、仮想パーソナルアシスタント、RPA(Class 2 RPA)、量子コンピュータ、IoT、AR/VRをテーマに研究を進めており、すでにRPAはR&D部から独立し、ビジネスを展開。
2019年2月期は売上高67億7700万円を計画しており、上半期時点における動向は売上高が昨年同期比132.7%の30億3200万円で進捗率は44.7%、経常利益は2000万円で同9.8%となっている。同氏は「経常利益は、上半期に本社移転や東証第一部変更などに伴う費用が発生したことによるため進捗率は低くなった。しかし、今期の目標を達成できる見通しであり、十分に狙える」と、強調していた。