NECは11月8日、愛媛県西条市がスマートシティ構築トライアル事業の一環として実施した「高齢者見守り支援サービス」の実証結果を受けて、コミュニケーション・ロボットである「PaPeRo i」を核とするICTソリューションによる高齢者見守りサービス向けソリューションの実用化を加速すると発表した。
PaPeRo iは、NECプラットフォームズが2016年7月に出荷開始したロボット型オープンプラットフォームであり、撮影用カメラ、顔認識用カメラ、温度・湿度・光度などのセンサを備え、音声認識機能やテキスト読み上げ機能を持つほか、クラウド型AIとの連携が可能だという。
愛媛県西条市で行った実証では、朝・昼・夕の毎日3回ロボットが高齢者の写真を撮影し家族に送る「見守り」、家族と高齢者の間で音声メッセージや写真をやりとりできる「コミュニケーション」、高齢者がロボットに話しかけて天気予報やニュースを聞ける「音声リクエスト」、音声リクエストで利用可能な「うんどうビデオ」を利用して認知機能の維持に貢献する「うんどう」、ロボットから高齢者に話しかける「声がけ」の計5サービスを使用。
同市内在住の高齢者単身世帯および高齢者のみの世帯と市外在住の家族合計10組を対象に、2018年7月~9月までの3カ月間実施した。
体験者アンケートと利用統計から、高齢者はロボットに親しみを感じ操作も簡単に出来ていること、見守りによる安心感に加えて家族とのコミュニケーションが活性化することに楽しさを感じていることが確認した。
また、家族は時間や場所を問わずスマートフォンでロボットが撮影した高齢者の写真を確認できる見守りサービスが有用であること、その他のサービスに対しても良い評価をしていることが確認できたという。
サービス全体として高齢者の生活が活性化し、健康寿命の延伸も期待できることがわかったとしている。同市はこの結果を受けて、料金や運用の仕組みなどの検討を引き続き進める予定という。
今後、本格的なソリューション拡大に向けて高齢者や家族の満足度をさらに高めるために、個々のサービスの改善や運用側の負担を軽減するシステムの検討を進めると共に、同市でのサービスモデルを他の自治体にも展開していく。