シャープは10月15日、同16日~19日に開催される「CEATEC 2018」の会場となる幕張メッセにおいてプレスブリーフィングを行った。

始めに国内における事業戦略について、シャープ 取締役副社長執行役員 AIoT戦略推進室長 兼 欧州代表の石田佳久氏が説明。まず、同氏は「引き続き、グローバルで事業を拡大する」と力を込め、2017年度(全社の売上高は2兆4272億円)に73.4%だった海外売上高比率を近い将来に80%を目指す方針を示した。

  • シャープ 取締役副社長執行役員 AIoT戦略推進室長 兼 欧州代表の石田佳久氏

    シャープ 取締役副社長執行役員 AIoT戦略推進室長 兼 欧州代表の石田佳久氏

これを実現するために「質から量へ」をキーワードに海外では商品カテゴリー/ラインアップの拡大に取り組むと共に高付加価値モデルやローカルフィットモデルの比率を高める「製品の質の向上」に取り組む。また、日本では最先端技術を活用し、革新的な商品/サービスを生み出し、イノベーションを実現する「事業の質の向上」を進める。

ASEANではローカルフィット商品/高付加価値商品の投入やPR活動、各国政府との関係構築などでASEAN NO.1ブランドの達成を目指すことに加え、欧州ではテレビ事業の強化やスマートフォン事業の展開、白物家電のラインアップ拡大に取り組み、本格的な事業拡大フェーズに移行する考えだ。

  • ASEANにおける取り組みの概要

    ASEANにおける取り組みの概要

  • 欧州における取り組みの概要

    欧州における取り組みの概要

さらに、中国ではテレビ事業の高付加価値化、商品カテゴリ/ラインアップの大幅拡大による真のグローバル企業の実現に向けて次のステージへのステップアップを図る。

  • 中国における取り組みの概要

    中国における取り組みの概要

日本では8KエコシステムとAIoTに注力 - 「SEATEC 2018」に展示

日本では、8KエコシステムとAIoT(シャープの提唱する「モノのAI」技術)に取り組み、CEATEC 2018では、これら2つを核に事業の質の向上に向けたさまざまなソリューション提案を行う考えだ。

8Kエコシステムに関しては12月1日から8K放送が開始することから、同社では10月15日に70V型、60V型、80V型の第2世代「AQUOS 8K」3機種と、8K対応USBハードディスク、8Kチューナー、オーディオシステムを発表。

  • 第2世代「AQUOS 8K」と周辺機器で8Kワールドを構築するという

    第2世代「AQUOS 8K」と周辺機器で8Kワールドを構築するという

石田氏は「8Kエコシステムはテレビだけでなく、エンドツーエンドのソリューションを各パートナーと構築し、カメラや表示機器、一連のバリューチェーン、サービスを多様な領域に展開する」という。

  • 8Kエコシステムの概要

    8Kエコシステムの概要

CEATECでは、映像配信ソリューション(映像クリエイトソリューション、配信ソリューション)、医療ソリューション、教育&研究ソリューションを展示する。

映像クリエイトソリューションでは8Kカムコーダや編集などの周辺機器、配信ソリューションでは自社クラウドを活用した8K IP配信、NTTドコモと共同で実施した8K放送で活用されるMMT(映像情報を伝送するためのソフトウェア技術)を用いて複数の8Kチャネルを同期伝送し同期して表示する実証実験の成果を展示。

医療ソリューションでは、8Kの視覚上無損失圧縮による遠隔医療への活用、教育&研究ソリューションでは8K 3D体験、触れる8Kミュージアム、8Kコンテンツ製作などを紹介するという。

一方、AIoTについては10月にAIoTクラウドサービス「COCORO AIR」をサポートするプラズマクラスター対応の加湿空気清浄機とエアコン、新たに追加した「COCORO WASH」をサポートするドラム式プラズマクラスター対応の洗濯機、世界最軽量を謳うスマートフォン「AQUOS zero」をそれぞれ発表している。

AIoTの事業展開に関して同氏は「AIoT機器の拡充、サービスの拡大、プラットフォームの提供、データ利活用の4つを軸に拡大していく」と意気込む。

  • AIoTの概要

    AIoTの概要

現在、AIoT分野では10カテゴリー153機種に拡大しており、今後も対応機器の拡大に取り組むほか、各COCOROサービスを1つに統合されたサービスに進化させる。また、スマートホーム統合アプリの提供を予定し、各AIoT機器と他社のサービス連携を推進していく。

さらに、スマートホームを実現するためには、宅内のすべての機器がクラウドにつながり、相互連携する必要があることから、同社のクラウド接続技術やクラウド上のソフトウェアをAIoTプラットフォームとして他社に提供していくという。

CEATECでは、AIoT取り組みを「スマートホームソリューション」「プラットフォームソリューション」「ペットソリューション」「ホームエネルギーソリューション」「リテールソリューション」の5つにテーマに分け、幅広いソリューションを提案する方針だ。