東京大学(東大)発ベンチャーのテンクーは、東京大学医学部附属病院(東大病院)が東大独自のがん遺伝子パネル検査「Todai OncoPanel」の臨床性能試験を先進医療Bとして開始するにあたって、その情報解析を受託したことを発表した。

東大では、Todai OncoPanelについて、2017年より臨床研究として実際に活用する形で、実用性の調査が進められてきたが、その際のシステムとして、電子カルテは富士通が、ゲノム検査は理研ジェネシスが、そして遺伝子変異と薬剤との関係などを整理した知識データベースの構築や がん患者の遺伝子変異に合わせたレポート作成についてはテンクーがそれぞれ協力してきており、今回の受託は、その成果を受けてのものとなる。

  • 2017年より開始した臨床研究の際のスキーム

    2017年より開始した臨床研究の際のスキーム (出典:東大の「Todai OncoPanel」の先進医療B開始発表資料)

新たなプロジェクトにおいても同社は、DNAパネル、RNAパネルを用いた次世代シーケンサ(NGS)データの解析、 知識データベースを用いた臨床的な意義付け、専門の医師らで構成されるエキスパートパネルのためのドラフトレポートの作成などを、自然言語処理技術や人工知能技術を用いることで、個人に特化したゲノム情報の精密なレポーティング可能な、ゲノム医療における情報解析のための独自のトータルソリューションソフトウェア「Chrovis」を活用することで、担当していくという。

  • Todai OncoPanelの薬事承認申請範囲のイメージ

    Todai OncoPanelの薬事承認申請範囲のイメージ。がん遺伝子パネルのみならず、塩基配列の決定や、解析・判例などまで含めた形のコンビネーション製品として予定されており、解析プログラムや知識データベースはテンクーが担当する (出典:東大発表資料)

なお、同社は、今回の受託を受ける形で、今後、 がん治療の個別化医療を加速するために、日本の拠点病院、アジアをはじめとした海外の先端的な医療機関との連携を目指すとともに、幅広く製薬産業や健康医療産業の企業とも協力し、がんゲノム医療をはじめとした診療、研究に役立つシステムの構築・展開を進めていくとしている。