凸版印刷は10月4日、スマートフォンアプリ「本人確認コアアプリ」とマイナンバーカードによる公的個人認証サービス(マイナンバーカードに記録された電子証明書を利用してオンラインで行政手続などを行う際に、他人による「なりすまし」やデータの改ざんを防ぐために用いられる本人確認の手段で、e-Taxの確定申告などに利用)を活用したオンライン完結型の本人確認サービスの提供を開始した。
新サービスは、オンライン取引におけるスマートフォン利用比率の急速な拡大に伴い、これまで提供してきた公的個人認証サービスを活用した電子契約基盤を用いて、非対面におけるオンライン完結型の本人確認手段を提供するものとなる。
具体的には、スマートフォンアプリ「本人確認コアアプリ」を契約企業のサービス利用ユーザーに提供し、契約電子化サービス「Speed Entry Trust」の認証基盤と連携することで、ユーザー自身のスマートフォンとマイナンバーカードを用いて手軽に公的個人認証を実施することができるという。マイナンバーカードによる公的個人認証は、現在の犯罪収益移転防止法により認められているオンラインでの本人確認方法となっている。
従来、本人確認書類の提示を受け、目視による本人確認業務を行っていた企業では、ユーザー自身のオンライン操作で本人確認が完結することから、バックオフィス業務の大幅な効率化が図れるほか、公的個人認証により住民基本台帳に登録の住所情報を取得できるため、ユーザーの現住所確認に必要となっている転送不要郵便が不要となり、事務コストだけでなく郵送コストの削減にも寄与するとしている。
主な特徴として「業務アプリケーションからのシームレスな起動」「セキュリティに配慮したシステム構成とデータセンターの提供」「複数の業務アプリケーションへの汎用的な展開が可能」の3点を挙げている。
業務アプリケーションからのシームレスな起動では、ユーザーは本人確認コアアプリ本体からの操作は行わず、各種業務アプリケーションからのAPIを経由した呼び出しにより、一連の業務アプリケーション操作の流れで画面のガイダンスに従い、マイナンバーカードをかざす、公的個人認証のための署名用パスワードを入力するといった操作を行う。正常に動作が完了すると、認証結果は自動的に業務アプリケーション側に引き継がれる。
セキュリティに配慮したシステム構成とデータセンターの提供に関しては、本人確認コアアプリおよび専用サーバには、公的個人認証を実施したユーザーの個人情報は保存されていないため、公的個人認証の実施結果は稼働しているセキュアデータセンター内で安全に保管・管理されるという。
複数の業務アプリケーションへの汎用的な展開が可能な点については、本人確認コアアプリはユーザーが初回に一度ダウンロードするだけで、複数の業務アプリケーションと組み合わせて公的個人認証を実施することができることから、契約企業のデジタル化施策に合わせて段階的に対象業務(連携する業務アプリケーション)を拡大していくことを可能としている。
今後、同社は銀行やクレジットカード会社を中心に本人確認コアアプリによるオンライン完結型の本人確認サービスを拡販し、2020年度までに20社、約5億円の売上を目指す。また、マイナンバーカードの普及を見据え、認定プラットフォーム事業者として公的個人認証サービスを活用した認証サービス群の開発を進めていくこと加え、予定されている犯罪収益移転防止法の改正に対応した本人確認業務支援サービスの開発についても検討していく方針だ。
価格は、初期導入費が300万円~、月額運用費が50万円~別途、利用件数に応じた電子署名検証費用が必要。なお、新サービスは三菱UFJ銀行の本人確認や簡易振込サービスでの利用に向けて、実証実験を予定している。