Dell EMCジャパンは9月12日、今年の5月、米ラスベガスで開催された「Dell Technologies World 2018」において発表したモジュラー型の新サーバ「Dell EMC PowerEdge MX」(以下PowerEdge MX)の国内提供を、9月13日より開始すると発表した。価格は1,545万7258円(税別)~。

  • 「Dell EMC PowerEdge MX」

  • 背面のイーサネットおよびファイバーチャネル スイッチイングモジュール

PowerEdge MXは新開発の7Uのシャーシに、8つのベイが用意され、このベイにコンピュートスレットやストレージスレットを収容する。また、背面には25GbEと32Gbpsファイバーチャネル ホスト接続を提供するイーサネットおよびファイバーチャネル スイッチイングモジュールを搭載する。

  • PowerEdge MXのモジュラー型コンポーネント。左からコンピュートスレット、ストレージスレット、イーサネットおよびファイバーチャネル スイッチイングモジュール、7Uのシャーシ

  • イーサネットおよびファイバーチャネル スイッチイングモジュール

コンピュートスレッドとしては、1ベイサイズの2ソケットサーバ「Dell EMC PowerEdge MX740c」と、2ベイサイズの4ソケットサーバ「Dell EMC PowerEdge MX840c」があり、「MX740c」は、2.5インチNVMe、SAS、SATAドライブを最大6本まで、「MX840c」は、最大8ドライブまで搭載できる。

ストレージ スレッドとしては、「Dell EMC PowerEdge MX5016s」があり、最大16本のホットプラグSAS HDDを搭載可能。シャーシ自体には最大7台の「MX5016s」スレッドが搭載可能だ。

  • ストレージスレット

PowerEdge MXは、キネティック(構造の完全性を低下させずに変化に対応する設計)インフラストラクチャによって設計されている。その目的は、ニーズに応じて、動的にシステム拡張や再定義ができること、サーバの管理工数を削減すること、将来の新たなテクノロジに対応できることの3つ。同社ではこれらを「制約からの開放」と表している。

  • キネティックインフラストラクチャによる3つの特徴(「制約からの開放」)

動的なシステム拡張では、リソースをニーズに応じてオンデマンドで変更可能にした点、ネットワークは標準で25GbEを搭載し、将来、50GbEや100GbEに拡張できること、スロットごとサーバごとにプロファイルをひも付けることができるため、機器のリプレースの際、即座にプロファイルを適用させ、高速なデプロイを実現すること、1つのシャーシ内に最大118本のHDD/SSD(MX5016s×7+MX740c×1)を搭載できる点などを挙げる。

  • 動的なシステム拡張

将来は、ストレージクラス メモリ、GPU、FPGAなどメモリ中心のデバイスを含むコンポーネントのプール化をサポートするという。

管理工数の削減では、管理ツールとして新たに「Dell EMC OpenManage Enterprise Modular エディション」を標準で組み込み、データセンター内も含めPowerEdge MXのコンポーネントを一元管理できるほか、変更やテンプレートの展開が行える。OpenManage Enterpriseは、スクリプトやAPIで自動化でき、スマホによるリモート設定も可能。そのほか、設定変更では、各スレッドに備えられたLCDディスプレイで、現場で設定変更が行える。

  • サーバの管理工数の削減

  • 各スレッドに備えられたLCDディスプレイ

  • 「Dell EMC OpenManage Enterprise Modular エディション」

そして、新たなテクノロジへの対応では、通常、ブレードサーバのシャーシに設置されているブレード同士を接続するミッドプレーン(バックプレーン)をなくしており、コンピュートとI/Oモジュールを直接接続する形式になっている。

  • ミッドプレーンを介さず、スレットとネットワークモジュールが直接接続される

同社では、ミッドプレーンが新しいテクノロジへの対応の足かせになっていたとしており、これをなくすことで、アップブレードを容易にしているという。

また、今後、最低3世代のプロセッサーマイクロアーキテクチャサポートを確約しているほか、将来に備え、冷却ファンのアルゴリズムを変更可能にしている。

  • 新たなテクノロジに対応

デル 執行役員 ISG事業統括 製品本部長 上原宏氏は、PowerEdge MXの主なターゲットとして、2013-2016年に国内で出荷された約15万台のブレードサーバのリプレース用途と、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)用途を挙げた。HCIは主に、VMware vSAN(Ready認証取得済)の利用を想定している。

  • デル 執行役員 ISG事業統括 製品本部長 上原宏氏

  • PowerEdge MXの国内の主なターゲット

上原氏は、これらターゲットに向け、5つの販促施策を発表した。

1つ目は、POC用として、東京三田のDell EMCソリューションセンターに検証センターを設立(すでに開設済み)。Dell EMCグローバルチームとも連携した各種環境を提供する。

  • Dell EMCソリューションセンター内のPowerEdge MX。2つのシャーシが用意されている

2つ目は、社員のスキルアップを目的とした社内エキスパート育成プログラムの創設。これは、マスター称号制による専門技術者育成プログラムで、サーバテクニカル営業約130名をを対象に米国本社で集中研修を実施し、グローバルトップレベルの「匠営業」を育成。提案力の強化を図る。

3つ目は、金利ゼロで3年間のリースを提供するファイナンスプログラムを開始。こちらのプログラムは、サービス・サポートやソフトウェアまで含められるのが大きな特徴だという。

  • ゼロ金利ファイナンス

4つ目は導入支援で、包括的導入支援サービスを「ProDeploy Plus」で提供する。

  • 包括的導入支援サービス

そして、5つ目がパートナーとのエコシステムとマーケティングの強化。エコシステム強化では、パートナーとの検証体制を構築するほか、日本法人同士の連携を強化し、案件獲得の勝率を高める。マーケティング強化では、製品の差別化ポイントを訴求する「Did You Know?(ご存知でしたか?)」キャンペーンをサーバブランド全体で展開する。

米Dell EMC サーバー&インフラストラクチャ ソリューション担当 プロダクトマーケティング ディレクター ジョナサン セクラー氏

米Dell EMC サーバー&インフラストラクチャ ソリューション担当 プロダクトマーケティング ディレクター ジョナサン セクラー(Jonathan Seckler)氏は、PowerEdge MXを開発した背景を「企業は、新たな競合とどう戦うのかという課題を抱えており、最新のテクノロジを有効活用し、それを競争優位性に変えていく必要がある。それがデジタルトランスフォーメーションだ。そのためにPowerEdge MXを開発した。これまで、仮想化によってサーバの利用率は50%程度まで高められているが、それでも、使用されていないリソースがある。リソースを最大限活用するためには新しいテクノロジを搭載したインフラが必要になる。それがPowerEdge MXだ。これによって新しいワークロードに対応できる」と述べた。