富士通は、ビル・テナント管理事業者などの電力一括受電業者向けに、スマートメーターの導入から、検針データ収集、電力使用量の見える化までをワンストップで行うスマートメーターネットワークソリューション「FUJITSU Intelligent Society Solution 特定データ収集サービス」を開発し、8月上旬より提供開始すると発表した。
同サービスは、従来目視で行っていた機械式メーターの検針業務を、スマートメーターで代替することで、電力使用量のデータをビルのフロアやスマートメーターの機器ごとに30分単位で収集し見える化するもの。近年、ビルやマンションで、管理事業者がテナント入居者や居住者の電気契約をとりまとめて電力会社と一括契約することで、店舗ごと、居住者ごとの小規模単位の契約よりも割安な電気料金を享受する事例が増えている。しかしこの場合、管理事業者がテナント入居者や居住者に対する電力の検針や料金請求などを行う必要があり、機械式メーターでは、目視による検針作業の負荷や精緻な分析に必要なデータが得られないという課題があった。
同サービスでは、従来人手で行っていた機械式メーターをスマートメーターに代替することで、電力使用量のデータを自動収集可能となっている。スマートメーターの導入から、検針データの収集、電力使用量の見える化、ネットワーク設定や運用保守も含めワンストップで提供されるため、トラブル発生時に障害を迅速に切り分けて早期に復旧できるという特長があるという。
また、同サービスは、30分単位で電力使用量データを収集しクラウド上に蓄積でき、ビルのフロアやテナントごとに把握できるため、時間帯別の料金計算などが容易に行えるという。また、空調利用が増える日中のピーク電力使用量を抑えるような対策をテナント入居者に提案するなど電力使用量を平準化し、節電につなげることが可能だということだ。
さらに、同サービスでは、一般家庭が各々エネルギーマネジメントを行う際に必須となる特小920MHz無線によるBルート通信機能を搭載しており、マンション内の各家庭単位でHEMS機器による使用電力の見える化が可となっている。スマートメーターには、独自開発のLTE通信モジュールが搭載されており、通信方式には1:N無線方式を採用したことで、スマートメーターを集約する装置や設置に伴う工事が不要なため、1台から段階的に導入できるという利点がある。また、スマートメーターの通信回線も同サービスに含まれており、ユーザー側での回線契約は不要となっている。
今後同社は、同サービスを電力分野だけでなく、ガスや水道分野にも展開し、ライフラインにおけるIoT化を強力に推進していくということだ。