ヤンマーは、同社のグループ会社であるヤンマーアグリが、位置情報やロボット技術などのICTを活用し農作業の省力・省人化、効率化を実現する自動運転トラクターを、10月1日より順次発売することを発表した。

  • 「YT5113A」ロボットトラクター仕様(左)とオートトラクター仕様(右)

    「YT5113A」ロボットトラクター仕様(左)とオートトラクター仕様(右)

近年、農地の集約による経営の大規模化や人手不足といった課題を抱える農業分野において、ICTを活用した作業効率化が求められている。

このたび同社は、作業の省人化を実現する無人運転の「ロボットトラクター」に加え、最小限の操作を有人で行い、経験や勘に頼っていた高精度な作業を自動化して省力化を実現する「オートトラクター」をラインアップした。

これらのトラクターの主な特徴は、直進のみを自動で、旋回などの運転操作は手動で行う「直進モード」と、自動直進に加えて旋回にともなうハンドル操作と作業機の昇降などの操作を自動で行う「オートモード」 という2種の自動運転モードを搭載し、オペレーターの人数や作業者のスキル、作業内容に応じて切り替えることが可能となっている。

  • 直進のみを自動で行う「直進モード」イメージ(左)、自動で作業を行う「オートモード」(右)

    直進のみを自動で行う「直進モード」イメージ(左)、自動で作業を行う「オートモード」(右)

操作・設定には防塵・防水性に優れた10.1インチのタブレットを採用。情報はアイコンやイラストで表示し、作業領域や経路作成、運転中の軌跡確認など簡単な操作が行える。2台のトラクターでの協調作業時には、随伴(あるいは併走)する有人トラクター内にて近距離監視を行いながら、タブレットにより無人トラクターを操作できる。また、RTK-GNSSを活用し、衛星(GNSS)と基地局からの電波で位置情報を取得してトラクターに補正情報が送られる。オプションでヤンマー独自の基地局を設置することで、高い精度での補正情報取得が可能となる。

  • タブレットでの操作・設定画面

    タブレットでの操作・設定画面

さらに、無人での運転・作業を行うロボットトラクターでは、レーザーや超音波で物体との距離を計測するセンサーや、全方向から自動走行の状態を確認できる3色のセーフティランプを設置し、周囲の安全を確保。自動運転中にエンジンが停止すると自動でブレーキがかかるセーフティブレーキも備えている。

なお、既に所有しているYTトラクター(YT488A/498A/4104A/5113A/490/5101/5113)を改装することで、オート、ロボット仕様へのアップグレードでき、新たにトラクターを購入しなくても自動運転仕様にすることが可能ということだ。

価格は、オートトラクター(YT488A/498A/4104A/5113A)が1072万5000円〜1407万5000円、ロボットトラクター(YT488A/498A/4104A/5113A)は1214万5000円〜1549万5000円(いずれも税別)。販売目標は、オートトラクター、ロボットトラクター、アップグレードキットを含め、年間100台。同社の自動運転技術搭載機種は、「SMARTPILOT」シリーズとしてラインアップを強化していくということだ。