アフラックは1955年にアメリカで創業、1958年には世界初のがん保険を発売した生命保険会社だ。日本では1974年から活動を開始。2018年4月には、それまでの日本支店から日本法人へと会社形態を変更、アフラック生命保険としての営業を開始した。

同社の働き方改革への具体的な取り組みは、2015年からの「アフラックWork SMART」施策として開始されている。目指すのは「活力ある企業風土の醸成」だ。ダイバーシティの推進や仕事の進め方の見直しが必要であるとして同社が策定した「アフラック Work SMART」の「SMART」は、それぞれの視野を広く持つ、目的を考える、自分から動く、対話を重ねる、時間を意識するという意味の英語の頭文字で作られているという。

  • 「Work SMART」

「単なる時間削減ではなく、仕事の進め方の基本方針です。初年度である2015年は、まず意識醸成に取り組み、2016年には仕事の仕方を抜本的に見直す具体的行動に移し、2017年にはその定着、そして発展へというステップで進めました」と語るのは、アフラック生命保険 コンタクトセンター 統括部長の岡本文子氏だ。岡本氏は2014年10月に設置されたダイバーシティ推進部の初代部長であり、2018年4月に異動するまでこの施策に携わってきた。

  • アフラック生命保険 コンタクトセンター 統括部長の岡本文子氏

  • アフラックの働き方改革取り組みのステップ

「意識醸成に向けて最初に行ったのが、経営陣による取り組みの宣言です。各部門で、『仕事の進め方見直し計画』を策定し、全社に向けて宣言してもらい実行に移しました。制約された時間で仕事をするためには、仕事に優先順位をつけ、時にはやめるという判断も必要です。担当役員が具体的にこの部門では何が不要で、そのためにここを変えるということを宣言しました。また、社長が全国拠点を訪問し、推進当初から3年間で約1000名の社員となぜ推進を進めるのかについて直接対話をしました」(岡本氏)

業務をよく理解している現場から不要と思える業務を提案するという方法ではなく、トップダウンで方向性を示した形だ。一方で、全社から立候補を募るカウンシルメンバーを通じて、現場の意見集約も進めている。

2017年からコンサルタントとして取り組みの企画・推進に全面的に加わったリクルートマネジメントソリューションズ HR企画統括部 シニアコンサルタントの武藤(ぶとう)久美子氏は、「他社と比較しても非常に真剣で、特に社長から担当役員といった上層部のやる気が違うと感じました。またカウンシルの自発的な取り組み、各職場で何ができるかを考えるといった動きも活発です。トップダウンとボトムアップのバランスがいい取り組みですね」とアフラック生命保険の取り組みについて語る。

  • リクルートマネジメントソリューションズ HR企画統括部 シニアコンサルタントの武藤久美子氏

意識醸成の中では、業務時間の制約として、まず会議運営の原則が作られた。事前準備や意見の出し方といった細かなことから、17時以降の会議禁止や50分以内で会議を済ませることなどしっかりと時間を区切り、会議で費やされる無駄な時間を削減している。これも時間に対するコスト意識を持たせる施策といえるだろう。

  • 意識醸成