東芝デジタルソリューションズは、設備のオペレーションやメンテナンスなどの現場作業で課題となっている業務効率化や熟練作業者の技術継承などをAR(拡張現実)で支援する、現場作業のデジタル化ソリューション「Meister AR Suite」の提供を開始した。
同ソリューションは、現場作業において、作業用タブレットが対象設備を認識すると「ARマニュアル」により作業箇所や手順がARで表示され、音声や動画でガイドされるもの。製造工場やエネルギー・社会インフラにおける設備のオペレーションやメンテナンスの現場では、熟練作業者の減少により新たな人材の育成が必要となっているが、技術継承には時間を要する。また、経験が少ない作業者にとっては、施設内に点在する対象設備をなかなか見つけられない、点検方法・点検箇所を理解しにくいなどの課題や、マニュアルが整備できていない、作業環境の変化にマニュアルの更新が追いつかないなどの状況もあり、業務効率化、技術継承をより難しいものにしている。
同ソリューションでは、作業箇所や手順がARで表示されるため、経験が少ない作業者でも正しい現場作業をスムーズに行うことが可能となり、紙のマニュアルを持ち歩く必要が無くなるとしている。また、「ARナビゲーション」により作業者を施設内の対象設備まで安全・確実に誘導することが可能となっている。これらのARコンテンツは、ノンプログラミングで直感的なGUIの「ARコンテンツジェネレータ」により、ARの専門知識がなくても、ユーザーのパソコンで簡単に作成・編集できるという。
同ソリューションのコアとなるAR技術は、東芝グループのICTを支える東芝インフォメーションシステムズが開発し、東芝グループの工場等での実証実験を重ねることで、認識精度や使い勝手の向上を進めてきたもの。このAR技術は、設備のオペレーションやメンテナンスだけでなく、設計・製造・営業・教育などさまざまな場面で利用することができる。今後同社は、「Meister AR Suite」と、ものづくりIoTソリューション「Meisterシリーズ」が提供するデータの収集・蓄積・活用機能との融合を進めていくということだ。