国立国会図書館のWebサイトには、伊能忠敬が記した「大日本沿海輿地全図」(だいにほんえんかいよちぜんず)の所蔵分をデジタルコレクションとして一般公開(国立国会図書館デジタルコレクションWebサイト内)している。はじめて国土の姿を明らかにした同図は、俯瞰で見ると現在の地図となんら遜色なく見える。デジタルツールの無い江戸時代に当時の測量技術を使い作られた地図は、寛政12年(西暦1800年)の4月19日に測量を開始、17年という長い年月をかけて同図の完成へと至っている。

  • 「大日本沿海輿地全図」の一部(国立国会図書館デジタルコレクション(<a href="http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1286633" target="_blank">Webサイト</a>より))

    「大日本沿海輿地全図」の一部(国立国会図書館デジタルコレクション(Webサイトより))

この"地図の日"であり4月19日を念頭に、地図情報で未来を創造するゼンリンは「地図利用実態調査2018」を発表している。幾多の専門的な地図から汎用的な地図、アナログから最新のデジタルまでをカバーする同社が、日常生活における"地図"の利用をアンケートで調査するもので2012年から7回目の試みだ。今年の2月9日から14日にかけて全国18歳から69歳の男女、20,000人対してのインターネットでの調査結果のサマリーとなる。

よくよく考えてみると納得だが、1年以内になんらかの形で地図を利用した人の割合は84.1%。7年連続で8割以上が地図を利用している。サービス別に見ると、パソコン用インターネット地図が57.8%、スマートフォン用インターネット地図が48.8%、スマートフォン用位置情報関連アプリが26.9%。ガイドブックや地図帳などの紙地図が21.4%、カーナビが29.0%という結果。スマートフォン利用が増加し、パソコンや紙での地図利用が減少している。

  • 1年以内に利用した地図関連商品・サービス(複数回答)(同社資料より)

    1年以内に利用した地図関連商品・サービス(複数回答)(同社資料より)

興味深いのは50代・60代での「スマートフォンの地図」利用が進んでいることが2016、2017、2018年の調査を並べると如実に表れはじめたことだ(「移動するときに利用する地図でスマートフォンを利用するユーザー」)。スマートフォンの普及もさることながら、ネイティブ世代ではない50代、60代がスマートフォンアプリを使いこなしはじめている。18・19歳と比較しても、その差が縮まっているのがわかる。ネイティブ世代ではなくとも、ホビーや業務で否というほどマイコンやPCを使いこなしてきたこの世代。使いこなせば新たなニーズを生み出し、デジタル地図の発展へと繋がる可能性も期待できる。

  • 移動する際利用した地図のうち「スマートフォン地図」、「パソコン地図を印刷」、「冊子・紙の地図」の年代別比較(複数回答)(同社資料より)

    移動する際利用した地図のうち「スマートフォン地図」、「パソコン地図を印刷」、「冊子・紙の地図」の年代別比較(複数回答)(同社資料より)