IDC Japanは4月10日、SDN(Software-Defined Network)、NFV(Network Functions Virtualization)に関する国内市場予測を発表した。

調査結果によると、国内SDN市場は成長が軌道に乗り始め、市場形成が進み、2017年には521億円にまで市場規模が拡大したことが明らかになったという。

  • 国内SDN市場 支出額予測、2017年~2022年

    国内SDN市場 支出額予測、2017年~2022年

適用領域別では、SDN市場を常にリードしてきたデータセンター(DC)SDN市場は、市場が立ち上がって5年以上が経過しているものの成長に衰えは見られず、2017年も40%以上の前年比成長率で、市場規模は308億円に達した。

「DCネットワークの自動化」と「マイクロセグメンテーションの適用」という2つのベストプラクティスを成長の両輪として、今後も成長を続けると想定しており、国内DCSDN市場の2017年~2022年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は、24.0%と予測している。

一方で、通信事業者が導入するキャリアSDN市場およびキャリアNFV市場は、これから本格的な成長が期待される市場となっている。

キャリアSDNの本命は「NFV環境の基盤としての導入」「5Gネットワークにおけるネットワークスライシング」「通信事業者のオペレーションの自動化」となり、同市場は今後本格的に立ち上がると推測し、2017年~2022年のCAGRは32.7%の成長を見込んでいる。

キャリアNFV市場は2017年は低調だったが、今後の成長については楽観視しており、5Gサービスに向けた移動体通信事業者の設備投資の再活性化に加え、新たなMNO(Mobile Network Operator)の誕生も好材料の1つになると想定。新規参入するMNOのサービス基盤整備が、キャリアNFVおよびSDNのショーケースになると期待されているという。

企業ネットワークSDN市場は、企業や官公庁、地方自治体に共通するセキュリティ対策の強化というマクロトレンドの後押しを受け、2017年の前年比成長率は96.5%と市場拡大を実現した。

セキュリティ対策という企業ネットワークSDNのベストプラクティスが、企業ネットワーク関連ベンダーだけでなく、ユーザー企業やシステムインテグレーターにも認知されるようになりつつあり、こうした現状は将来の成長に力強さを与え、2017年~2022年のCAGRで31.3%と継続的な成長を予測している。

さらなる成長が見込まれるSDN市場ですが、さまざまな領域でSDN技術の適用が進む反面、適用領域ごとに異なるSDNコントローラーや管理コンソールを必要とする「SDNのサイロ化」に対する懸念も出てきているという。

同社のコミュニケーションズ グループマネージャーである草野賢一氏は「SDNのサイロ化は新たな悪夢であり、断じて避けるべきである。ネットワークごとに異なる管理画面を必要とするソリューションでは、SDNの根源的なメリットである集中管理性が著しく損なわれる。買収したベンダーのソリューションや別の部門が開発した製品をSDNポートフォリオに加える場合は、少なくとも管理コンソールを統合してから、市場に投入すべきである」とコメントしている。