ICTを活用した働き方改革を進める富士通。同社は、2017年4月より、全社員3万5千人を対象にテレワーク勤務制度を導入し、自宅やサテライトオフィスなどでの勤務を可能とした。職場単位で導入を進め、現時点では約7割の職場にこの制度を導入し、フレキシブルな働き方を実現している。

  • 富士通のテレワーク勤務制度

テレワーク勤務制度の浸透に伴い、同社は働く場所として「事務所」「自宅」「サテライトオフィス」の3つを定義している。特に東京・汐留本社をはじめとする出張者が多い事業所に、「自席でもない、自宅でもない、第3のスペース」として、社内サテライトオフィス「F3rd」を設置しているほか、社外サテライトオフィス「F3rd+」の活用も推進している。

本稿では、このサテライトオフィス活用推進の取り組みのなかから生まれた、同社の新横浜TECHビルの新オフィスやそこでの取り組みについて紹介したい。

新横浜TECHビルは「一歩先の働き方を考え、何でもトライする場」

全国10カ所(取材時)に導入された同社の社内サテライトオフィス「F3rd」は現在、月間延べ2万5000人が利用している。特に、事業所間での出張の際に重宝されているという。また、新たな取り組みとして、2017年9月より、民間企業が運営する社外サテライトオフィス「F3rd+」を営業部門の社員を中心に1700人がトライアルで活用しはじめた。大変好評だったことから今年2月に正式契約し、全社員が活用できるようにした。このようにテレワークの活用が浸透していく中、新横浜TECHビルではテレワークにおける新しい働き方を「社内」で実践している。

  • 「F3rd」

現在、新横浜TECHビルには、同社の社内ICTを担うIT戦略本部などが在席している。IT戦略本部では、ICTを活用した働き方改革の社内実践を進めるというミッションのもと、デジタルツールを用いたフレキシブルな働き方の実現に取り組んでいる。その一環で、新しいコンセプトのオフィスを開設することになったのだ。今回のオフィスの改革は、同社初の試みだという。

  • 新オフィスのコンセプト

移転は、2017年6月から検討を開始。同年9月からオフィス工事を行い、同年11月には移転という短期間で実施された。

内田洋行 オフィスエンジニアリング事業部 河津正典氏

オフィスのコンセプトは、「これまでのオフィスにとらわれず一歩先の働き方を考え、何でもトライする場」。IT戦略本部を中心に、内田洋行と内田洋行グループのパワープレイスが行うワークショップにて考案されたものだ。ペーパーレスについては富士通のグループ会社であるPFUが支援した。

コンセプトの決定から新オフィス構築と運用に携わった内田洋行 オフィスエンジニアリング事業部 河津正典氏は、「IT戦略本部はICTを推奨する部署であり、新しいことへのチャレンジが求められます。特に、テレワークを推進されていましたので、富士通の新しいソリューションや技術を導入し、場所を選ばず仕事ができるようなオフィスの実現、という提案をさせていただきました」と振り返る。