キッコーマンは、産業技術総合研究所(産総研)バイオメディカル研究部門、 千葉大学大学院医学研究院、愛世会 愛誠病院上野クリニックと共同で、 乳酸菌 Pediococcus acidilactici K15(以下、乳酸菌 K15)のIgA産生誘導メカニズム、 およびその臨床効果を確認したことを発表した。

  • 乳酸菌K15のIgA産生誘導メカニズム

    乳酸菌K15のIgA産生誘導メカニズム

キッコーマンと産総研は共同研究を行うなか、健康増進のために免疫機能を活性化する技術の開発を目指し、発酵食品由来の乳酸菌や食品成分の機能性に着目した。この中で、キッコーマンはぬか床から分離した乳酸菌 K15が、高い免疫活性化能を持つことを見出した。 そして、産総研、千葉大学と共同で、K15を中心とした乳酸菌の免疫効果・効能について実用化を目指した検証を続けてきた。

共同研究チームは、7名の被験者からのヒト末梢血単核細胞を用いて、乳酸菌で刺激したときに産生されるIgAの濃度を測定したところ、乳酸菌K15で刺激したときに、他の乳酸菌に比べて強いIgA産生を示した。

ヒト末梢血単核細胞より樹状細胞とB細胞を分離し、IgA産生増強における樹状細胞の役割を検証した結果、乳酸菌によるIgA産生誘導効果には樹状細胞が関わっていることが明らかとなった。乳酸菌が関与するIgA産生誘導メカニズムについてはこれまでマウスでは報告されていたが、ヒト細胞で初めて示された。

今後は、乳酸菌K15のIgA産生増強を含む臨床効果をさらに検証し、感染抵抗性の増強などへの乳酸菌 K15の活用が期待される。