ストラタシス・ジャパンは2月27日、サントリーグループ共通のものづくり(研究・開発・生産・調達・ロジスティックス・品質保証)業務を担う「サントリーMONOZUKURIエキスパート」が、清涼飲料用のペットボトル容器開発において、ストラタシスのPolyJet方式3Dプリンタ「Objet Eden 260VS」を採用したことを発表した。
これにより、これまで1回あたり1カ月半かかっていたペットボトルの試作期間を最短3日まで大幅に短縮し、完成度の高いペットボトルデザインを実現した。
サントリーMONOZUKURIエキスパートは、限られた開発期間の中で、ペットボトル軽量化と商品コンセプトを表現する高いレベルのデザインを両立させるため、試作のリードタイム短縮を必要としていた。しかし、アルミ製の金型を外注していた従来のペットボトル試作では、開発にかかるリードタイムが長く、時間的制約から断念せざるを得なかった。
そこで同社は、3Dプリンタ、コンピュータシミュレーションと切削加工機との比較検討を行ったが、シミュレーションでは計算時間が長いうえ、実際のボトルデータと計算結果の間に若干の乖離が見られた。一方、切削加工機による金型内製は、仕上がりには問題なかったものの、CAM(コンピュータ支援製造)や加工機の設定などに非常に工数が掛かるという問題があった。
比較検討の結果、同社は、アルミ金型ではなく樹脂型を社内で製作できる、3Dプリンタを活用したデジタルモールド技術の導入を決定した。
今回、ストラタシスの「Objet Eden 260VS」導入により、サントリーは、従来の金型による試作評価には1回あたり1.5カ月かかっていたものが、3Dプリンタ製樹脂型を使うことで、最短3日間にまで短縮することができたという。また、パッケージエンジニアにも3D CADを使える人材を育成した。3D CADを扱うコンセプトデザイナーとパッケージエンジニアが、試作の前に同じ3D CAD図面を用いて検討することで、1回の試作評価の精度自体を非常に高めることができたとのこと。
今回、3Dプリンタによるパッケージ開発の納期短縮に成功したことから、サントリーでは今後、アルコール飲料や、海外も含めたその他の事業部門への展開も検討するという。さらには、ペットボトル/パッケージ試作開発だけにとどまらず、生産現場の工具や治具の製作など作業効率の向上にも注目していくということだ。