独立系半導体ナノエレクトロニクス研究機関であるベルギーimecは、姉妹研究機関である蘭Holst Centreと共同で、ヒトの脳の感情や認知プロセスを測定できる脳波(EEG)測定ヘッドセットのプロトタイプをCES 2018にて展示実演したことを発表した。

  • imecらが開発したヒトの脳の感情や認知プロセスを測定できる脳波(EEG)測定ヘッドセットのプロトタイプ

    imecらが開発したヒトの脳の感情や認知プロセスを測定できる脳波(EEG)測定ヘッドセットのプロトタイプ (出所:imec Webサイト)

従来、脳波の測定は、てんかんや睡眠障害といった疾病の診断に主に用いられてきたが、近年、ヒトの感情を検出する手段としても用いられるようになってきており、eラーニングの習熟度や、VRゲームへの応用といったことが模索されるようになってきた。こうした新たなアプリケーション領域では、リアルタイムで感情を検出する必要があり、無線を用いたEEGヘッドセットの実現と高性能化が求められていた。

今回開発されたEEGヘッドセットは、ユーザーの快適性を確保しつつ、高度なリアルタイム信号監視ソフトウェアや、スイスDatwylerによる高性能ドライ電極、Bletooth対応ヘッドフォンジャックなどを搭載。特に音楽を再生することが可能となったため、音楽を流すことで、装着者の感情に影響を及ぼすといったことも可能となるという。

また、同ヘッドセットでは、人工知能(AI)の活用により、着用者の個人的な好みを学習し、好みの感情状態を達成することを目的とした感情に影響をおよぼす音楽をリアルタイムで作曲し、再生することも可能。このベースとなった機械学習アルゴリズムは、大阪大学 産業科学研究所の沼尾正行 教授らとの共同研究によって開発されたものである。

なお、imecでは、今後、同ヘッドセットはさまざまな脳に関わりがある疾患の治療のほか、e-ラーニングやVRゲームにおける感情測定に実際に使われていく予定だとしている。