信濃毎日新聞と富士通は1月15日、富士通のAI(人工知能)技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」を活用した記事要約の実証実験を行い、自動記事要約システムを実現したことを発表した。

同システムは富士通研究所が開発した、自然言語処理技術と機械学習を組み合わせた自動要約技術を活用したもの。信濃毎日新聞社の過去記事と、それらを人手で要約した記事をセットにした合計約2500セットの記事を、自然言語処理および機械学習させることでモデル化し、CATV向けニュース配信サービスに最適化された要約記事を自動作成できる自動記事要約システムを構築した。

  • 要約モデルの連携イメージ

    要約モデルの連携イメージ

  • 記事先頭以外からも重要文を抽出して自動要約をした例

    自動要約をした例

実証実験では、1件の記事当たり人手で最大約5分かけて行っていた要約作業を瞬時に自動実行するとともに、既存の要約技術であるLEAD法よりも人手に近い高精度な要約が可能であることを実証できた。

信濃毎日新聞社のCATV向けニュース配信サービスでは、これまで「配信記事の選定」「メディア編集システムへの送信」「記事要約」「見出し作成」「校閲」の5つのプロセスで実施していたが、自動記事要約システムを適用することにより、最も時間を要するプロセスが「記事要約」のプロセスが不要になるため、全体プロセスの約5割程度の時間短縮が期待でき、同サービスの運用の迅速化を実現するとしている。

  • 期待される導入効果

    期待される導入効果

富士通は今後、CATV向けニュース配信だけではなく、電光掲示板ニュースやSNSなど、文字数制限の異なるメディアごとに最適化された要約モデルを構築し、多様なメディアに対応可能な自動記事要約システムの製品化を進めていく。また、メディアだけでなくさまざまな業種でも容易に活用できるようにするため、汎用性の高いAI機能をAPIとして提供するサービス「FUJITSU Cloud Service K5 Zinraiプラットフォームサービス」の一部として提供することを目指す。