2017年はSS-520ロケット4号機の現地取材から始まり、さまざまな宇宙関連の話題をお届けしてきた。今年2018年も、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や民間のベンチャーによる、注目のイベントが盛りだくさん。本稿では、日本が関係するミッションについて、ポイントを簡単にまとめてみたい。予習としてもらえれば幸いだ。
2018年前半は小型ロケットが熱い!
まず年明け早々に実施されるのが、JAXAのSS-520ロケット5号機とイプシロンロケット3号機の打ち上げだ。
SS-520は本来、観測用の2段式ロケットなのだが、4号機では第3段を追加し、超小型衛星の軌道投入に挑んだ。残念ながら、改修した部分で不具合が発生し、衛星の軌道投入には至らなかったものの、5号機で再チャレンジする機会を得ることができた。このロケットは全長10mしかなく、成功すれば、"世界最小"の衛星打ち上げロケットとなる見込みだ。
5号機はもともと、2017年末に打ち上げられる予定だった。部品に不具合が見つかり、直前で延期になったのだが、今のところ次の打ち上げ日は公表されていない。ただ、関係する一部の機体を工場に持ち帰り、確認試験を行うとのことなので、それなりの時間を要しそうだ。
イプシロンの打ち上げ日が1月17日なので、見学する側からすると、その前後になると一緒に見ることができて嬉しいところ。どうなるかはまだなんとも言えないが、今後の発表を待とう。
そのイプシロンはこれが3回目の打ち上げとなるが、強化型のオプション形態はこれが初めて。また、地球観測衛星で使われることが多い太陽同期軌道への打ち上げも今回が初めてだ。成功すれば、今後の利用拡大に向けて、大きなマイルストーンになるだろう。
そして、インターステラテクノロジズの観測ロケットであるMOMO2号機にも注目だ。こちらも2017年、初号機を打ち上げ、日本の民間として初の宇宙空間到達を目指したものの、通信が途絶えて失敗。対策を施した上での再挑戦となる。打ち上げ時期については「今春」という以上の情報はないが、非常に楽しみなところだ。
日本初の月面探査が実現するか?
宇宙探査の分野では、民間月面探査チーム「HAKUTO」に注目したい。弊誌でも長らく取り上げてきた月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」も、いよいよ3月末が最終期限だ。泣いても笑ってもこれが最後ということで、どんな結果になるかはまだ分からないが、しっかり見届け、記事でお伝えしたいと思っている。
気になる打ち上げ日であるが、昨年末の延期が発表されて以降、新しい情報は無い。しかし、3月末までにミッションを達成しなければならないことから考えると、遅くとも3月半ばまでには開発したローバー「SORATO」を打ち上げる必要があるだろう。ただ、PSLVロケットの打ち上げ再開が遅れており、状況はやや不透明だ。
もしミッションに成功すれば、これが日本初の月面探査となる。JAXA初の月面着陸を目指す「SLIM」の打ち上げは2020年度のため、国のランダーより、民間開発のローバーが先に月面に到達することになるわけだ。
JAXAのプロジェクトでは、日本初の水星探査機となる「MMO」が、いよいよ打ち上げ予定だ。MMOはこれまで、ズルズルと打ち上げが延びていたが、現在は2018年10月に打ち上げ、2025年12月に水星に到着するというスケジュール。スイングバイを9回も行わないと辿り着けないため、到着まで7年もかかる見込みだが、気長に待ちたいところだ。
また、2014年に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ2」は、ついに6~7月に目的地である小惑星「リュウグウ」に到着する予定。どんな姿をしているのか、最初の観測画像が非常に楽しみなところだ。順調に行けば、年内にも1回目のタッチダウンが行われることになるだろう。今度こそスッキリと決められるか、注目しよう。