トヨタ紡織は、11月5日まで開催される「第45回東京モーターショー2017」において、コンセプト未来モック「VODY」を展示している。

コンセプト未来モック「VODY」

自動車のシートなどインテリアを手がけるトヨタ紡織は、今回、新たな移動空間のコンセプトとして2種類の展示を公開している。黒くシャープな印象の「VODY」は、人とクルマがつながることで、人に寄り添い、進化するというコンセプトの移動空間。名称は造語で、VOID(空間)とBODYの組み合わせからとられており、人とつながることで完成する空間を意味する。

「VODY」は、トヨタ紡織と、クリエイティブエージェンシー「Rhizomatiks(ライゾマティクス)」のコラボレーションによって生み出されたもので、クリエイティブディレクションを同社代表の齋藤精一氏が、テクニカルディレクションを石橋素氏が務めた。

乗員の体型や気分に応じて、シート形状や空間が変化するのが特徴となっている。特に目を惹くのは、黒いパーツが集まって、自在にカタチを変えられるシートの背もたれ部分。有機的に動く様子に注目が集まっていた。シート開発においてデータを取るための評価機器からインスピレーションを得て作られたという。

屋根の部分が下りてきて、外界を遮断した状態

運転席の前にはディスプレイがあり、モードに応じた案内が表示される

一般公開日(10月29日)の同社ブースでは、定期的に行われているショーの後、希望者が実際に「VODY」へ乗り込める体験イベントを行っていた。1回5分程度、1回につき最大2名まで、ドライブモード、リラックスモード、瞑想モードの3段階を体感できる。

コンセプト未来モック「VODY」のイメージ図

コンセプト未来モック「MOOX」のイメージ図

コンセプト未来モック「MOOX」

実際に乗ってみたところ、やわらかい素材の背もたれが有機的に動き、そっと背筋に沿ってくるような感覚が目新しかった。センシングした結果などのフィードバックは今回なかったが、このモックが現実に稼働するような状況になれば、呼吸センサなどで乗員の状況をリアルタイムに測り、それに応じたモードを選ぶことができ、車に乗るという体験がより魅力的になるだろうと感じることができた。

今回の東京モーターショーでは多くのメーカーが、自動運転のコンセプトにおいてドライバーが手動運転あるいは自動運転を選べるとしていた。同社ではそれに加え「瞑想モード」という別の選択肢を示すことで、「運転の方法」ではなく、「車の中での過ごし方」という着眼点で、モビリティの未来を提示している点が印象的だった。

なお、もうひとつの完全自動運転を想定したコンセプトモック「MOOX」も同様に、ショーの後で乗車体験が行われていた。