東北大学は、ラジカル殺菌歯周病治療器の臨床的有効性を医師主導治験において実証することに成功したと発表した。
同成果は、東北大大学院歯学研究科口腔システム補綴学分野佐々木啓一 教授および同研究科先端フリーラジカル制御学共同研究講座の菅野太郎 教授らによるもの。詳細は英国の学術誌「ScientificReports」に掲載された。
歯周病は、デンタルプラークに含まれる歯周病原因菌によって引き起こされる疾患だ。病状の進行に伴って歯を支える骨が失われ、最終的には歯の喪失につながる。これが重度の歯周病になると、歯周ポケットが深くなってしまい治療が困難になってしまう。
そこで研究グループは、重度の歯周病を効率的に治療するために、消毒薬として用いられる3%過酸化水素に対して青色の光を照射することで、発生するラジカルを応用した殺菌法を考案し、ラジカル殺菌歯周病治療器を開発した。
同治療器の臨床的な有効性を検証するために東北大学病院主導で治験を行ったところ、同治療器を用いた歯周病治療は、従来の治療法よりも歯周病菌を減少させて歯周ポケットを浅くする効果に優れることが実証されたという。
なお、研究グループは、歯周病に苦しむ患者に少しでも早く研究成果を還元できるように、東北大学と企業で新規医療機器としての承認取得に向けた取り組みを行い、早期の臨床導入を目指していくとコメントしている。