東北大学は、同大学院医学系研究科 眼科学分野の中澤徹教授、檜森紀子助教、浅野良視医師らのグループが、緑内障患者における全身の抗酸化力と緑内障重症度の関係を明らかにしたことを発表した。この研究成果は8月14日、英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

緑内障患者における抗酸化力(BAP)と緑内障重症度の関係

網膜神経節細胞が障害されて視野が狭くなる「緑内障」は、日本人の中途失明原因の第1位の疾患である。現在、緑内障の治療は、点眼薬や手術によって眼圧を下げることが第一選択となるが、眼圧の制御が良好であっても病状が進行する緑内障患者は少なくない。

そこで研究グループは、眼圧以外の緑内障へ影響を与える因子として酸化ストレスに打ち勝つ抗酸化力に着目し、緑内障重症度との関係を調査した。

抗酸化力の指標となるBAP(Biological Antioxidant Potential)をヒトの血液サンプルからフリーラジカル分析装置を用いて測定した結果、65歳以下の比較的若年男性の緑内障患者ではBAPと緑内障重症度である網膜神経節細胞数に正の相関があることを見出した。

さらに、65歳以下の男性緑内障患者において解析を行った結果、BAPは網膜神経節細胞数に対して影響を及ぼす因子であることが示された。

これらの結果により、65歳以下の男性の場合、活性酸素を消去する抗酸化力が低いと緑内障が重症化しやすいことが明らかになった。また、この研究によって、比較的若年の緑内障患者における全身的な抗酸化治療は、視野維持に有効な治療法になる可能性があることも示されたと説明している。