AgICはハンダ付けも可能なフィルム基板を展示

AgICというと導電性があり、インクジェットプリンタで回路が作れる銀ナノインクで知られている。以前のMaker Faire Tokyoでも紙に銀ナノインクのペンで自由に回路を描いてLEDを光らせる工作が子どもに人気だったが、今年は非常に実用的な展示を行っていた。

基板上に銀ナノインクをインクジェットで書いた回路の上に、無電解銅メッキを行う事でハンダ付け可能なフレキシブル基板「P-Flex」を作ることができるという。オプションで金メッキも施すことができるので、試作だけでなく多品種少量製品においてもフレキシブル基板が利用できるという。

AgICは無電解銅メッキで試作だけでなく量産にも耐えるフレキシブル基板「P-Flex」が新登場。写真を見てわかるとおりハンダ付けに対応し、抵抗値も2ケタ下がっている

機械式の古時計、マイコンで精度向上

今回、アイディアの勝利だなぁとおもったのが木楽らぼの「棒テンプ時計の精度アップの試み」だ。棒テンプ式の時計は慣性モーメントを増減させることで調整するが、機械式ゆえに各部の摩擦が変われば動きも変わってしまう。

本来はテンプについている錘を動かして微調整を行うが、ここにマイコンを取り付ける事で動きをトラッキング。錘の位置をモーターで動かすことでマイコンに内蔵されているリアルタイムクロックの精度に近づけようというものだ。

説明文では地磁気センサーを使用するとあるが、会場内ではうまくいかなかったということで(消費電力が増すが)ジャイロセンサーに変えてデモを行っていた。一週間で誤差一分になったというが、制御次第ではもっと精度を上げられそうな気がする。

テンプの動きをセンサーで検知して錘を動かすことで精度向上を図っている。機能を増やすと消費電力が増えるので、機械式時計の精度を上げる事に特化しているようだ

小学生なら誰もがやったであろうアレを機械化

工学「茶」電子工作部(元:I/O電子工作部)ではいくつかの面白工作があったが、おそらく新作なのが「エレキ定規楽団」。机の端に定規を置いて弾いて音を出すというのは、子どもの頃に絶対やっている遊びだと思うが、これを機械制御。楽団というので複数鳴らしてほしいと言ったところ「調整に時間がかかった」ということで、次回は名前に負けないように楽団として楽曲を奏でて欲しい。

「音」系のエリアではないので音量は控えめだったが、それでも「ビョイーン!」という音はよくわかる。奥のサーボで長さを調整し、手前の指サーボで弾く

節約してもらうなら可視化でしょう!

渋谷のIT企業の部活として行っているフィジカルコンピューティング部ではいくつかの作品を展示していたが、その中でピンと来たのがトイレットペーパーの出した長さを可視化する装置。原理は単純でペーパーにロータリーエンコーダーを接触させて長さを表示するというものだが、展示機の表示単位は0.1mmで「細かすぎぃ!」。さらに長すぎると警告ランプが付くがデモという事で40mmに設定されており「短すぎぃ!」。そして機構を単純にするため、出し過ぎたと戻してもカウントアップされる仕様だった。

トイレのIoTソリューションとして手洗い石鹸やペーパータオルがなくなった事を作業員に知らせるというのが海外で実用化されていたはずで、日本的には「本日の消費量と平均消費量」で可視化するのがよさそうな気がする。

トイレットペーパーの長さを可視化するのは正しいと思う。が単位が細かすぎ!