東京工業大学(以下、東工大)は、川崎市と共同で、中分子IT創薬に関する事業化プロジェクトを含む、イノベーション・エコシステム形成に向けた研究開発プログラム「IT創薬技術と化学合成技術の融合による革新的な中分子創薬フローの事業化」を実施することを発表した。同プログラムは、文部科学省による「平成29年度地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」支援対象に選定された。支援期間は平成34年3月までの5年間の予定。

東工大 中分子IT創薬研究拠点(MIDL)の入居施設(出所:東工大ニュースリリース)

同プログラムの研究内容は、東工大の情報理工学および生命理工学の学問的蓄積とスパコン技術を活かして、IT創薬技術、人工ペプチド・人工核酸合成技術等のコア技術の融合による分子創薬事業フローを構築するという。

また、同プログラムは東工大のキャンパス内だけでなく、川崎市の殿町国際戦略拠点「キングスカイフロント」内に中分子IT創薬研究拠点 (MIDL)を設立し、川崎市内企業等が参加する大型の産学官連携事業として展開する。設立予定場所は、大和ハウス工業が開発・設計・施工する殿町3丁目A地区内のIIA棟1階。

東工大では、かねてよりキングスカイフロントへの研究拠点の新設を計画しており、当事業の支援採択を受けて、さらに研究機能を強化した中分子IT創薬研究拠点(MIDL)として施設を設置する。中分子創薬分野にIT創薬の手法を導入する試みは独自性が高く、同大学によれば専門施設としては世界初となる見込みだという。

川崎市内の企業等との産学官連携により、基礎・基盤研究と創薬事業を橋渡しするイノベーション・エコシステムを形成することで、中分子創薬の開発効率の大幅な向上を目指すとしている。