続いて、山本氏は「未来の働き方トライアル」の詳細も紹介した。「未来の働き方トライアル」では、「Work Anywhere(在宅勤務)」「Work Simply(業務の効率化)」「Work Shorter(退社時間の計画)」という効果が出やすい3つのテーマに絞り、テクノロジーを活用して取り組んだという。

「未来の働き方トライアル」の概要

「在宅勤務」については、テレビ会議システムとスケジュール管理ツールを利用し、トライアルに参加した部署の人全員が週に1回在宅勤務を行ったという。その結果、トライアル実施前は「在宅勤務でできる仕事は限られる」と思っていた人が47.1%だったところ実施後は11.8%に減り、また、「在宅勤務によって業務に支障が出る」と思っていた人が32.4%が2.9%に減ったことが紹介された。

在宅勤務のトライアルの結果

「業務の効率化」としては、会議、参加人数の絞り込みなどを実施。その結果、65.9%が「会議時間が短縮した」と回答。また、会議に参加した人数、職階・役職から推計値を出したところ、「人件費が減った」という回答が76.2%に上ったという。

業務効率化のトライアルの結果

「退社時間の計画」としては、スケジュール管理ツールで各自が退社時間を事前に決めて共有することで、平気勤務時間が8-9時間から7-8時間に減ったという。トライアル実施前は「締め切りや納期内に業務が終わらない不安がある」という回答が54.9%だったところ、24.7%に減少した。

退社時間の計画のトライアルの結果

Googleではこうしたトライアルの結果から得た知見をもとに、働き方改革に取り組むにあたっての不安を解決し、具体的な方法を提案するコンテンツの提供を開始した。

コンテンツは2種類ある。1つは、経営層・人事・管理職向けのガイドブック「働き方改革 推進ガイド」で、働き方改革の必要性を組織に浸透させるためのデータ、 3 つの取り組みから得られた実際の効果についてのデータ、各社の課題と解決方法を紹介する。「明日から働き方改革を始めるための 7 つのステップ」とチェックリストを使って、働き方改革を行うために必要な具体的なステップが把握できるようになっている。

「働き方改革 推進ガイド」

もう1つは、社員向けの e ラーニングツール 「働き方改革 実践トレーニング」だ。「Work Anywhere」「Work Simply」「Work Shorter」「Work Life Balance」という4つのコース別にコンテンツが用意されており、PCやスマートフォンから利用できる。

「働き方改革 実践トレーニング」

山本氏によると、180の企業がこれらのコンテンツの利用を決定しているという。

今年の春闘では、通常の賃金交渉に加え、働き方改革に関する制度についてもさまざまな交渉が行われており、企業もいよいよ本腰を入れて働き方の変革に取り組んでいく状況になってきている。これを機に、単なるツールが変わるだけでなく、働き方そのものが変わることを期待したい。