アドトロンテクノロジーは3月13日、スマートフォン連動型IoT水耕栽培機「foop」の新製品発表会を開催した。従来の製品に加え、新たに3製品を3月21日から今秋にかけて順次発売する。
IoT水耕栽培機「foop」に廉価版や研究向けをラインナップ
同社は1998年3月に設立された、デルタ電子が出資するベンチャー企業。小型のLEDモバイルプロジェクター「QUMI」シリーズやUSBアダプター「Innergie」などの開発・販売を手掛ける。
foopは2016年4月に初代モデルを発売。複数のセンサーにより栽培状況を検出し、LED照明の明るさや、エアーポンプ、ファンの強弱の調整を制御する他、Wi-Fi経由でスマートフォンと連携しデータの表示や通知機能などにより、栽培のサポートを行うことができる。本体サイズは、幅498×高さ326×奥行き320mmで、重量は約8kg。消費電力は36W。無線通信はWi-Fi IEEE 802.11n/g/bに対応する。
新製品第1弾として3月21日に発売される「foop Lite」は、価格を38,500円(税別)に抑えたリーズナブルなモデル。従来の製品の基本機能からCO2検出機能を省き、本体両側のパネルの天然木材の面積を控え目にしたデザインを採用することにより、従来モデルよりも1万円程度価格を抑えた。発売キャンペーンとして100台限定で6ヶ月分の種子セット付きで特別価格32,800円(税別)で販売する。
この他、「foop Premium」として、側面パネルに日本の伝統工芸を採用したコラボレーションモデルを2017年夏に発売。パネルはすべて職人によるハンドメイドで、漆、西陣織、鹿革の3つのラインナップを揃える。
さらに、2017年秋には「foop Pro」を発売予定。研究機関・企業向けハイエンドモデルで、本体にカメラを搭載し、自動で成長記録動画を撮影できる他、LEDの明るさやファンの回転速度の設定などをスマホアプリですべて手動で設定でき、外出先から家電などの遠隔操作を可能にする通信規格「ECHONET Lite」にも対応している。
アプリ・ファームウェアのアップデートも実施
また、スマートフォンアプリと本体のファームウェアのアップデートも合わせて実施される。朝と夜の時間に合わせてLEDライトの明るさを自動制御する「サンライズ・サンセット機能」を追加し、LEDがゆっくりと点灯・消灯できるようになり、より自然な生育環境に近づける。
また、本体のインジゲーターに外部の天気や金、室温等を表示する機能や、スマートフォンのロケーション情報をもとに地域や季節に応じた栽培のアドバイスを行う機能、アプリからチャットで直接サポートを行える機能なども加わる。
発表会では、foopの総合プロデューサーを務める、アドトロンテクノロジー IoT事業開発部ゼネラルマネージャのマーベリック氏が挨拶。「エネルギー効率の向上に寄与し、エネルギー消費を削減することが弊社のミッション。弊社が持つ技術を活用したIoT製品により、それを実現できないかと考えたのがfoop事業の発端でもある。農業人口の高齢化や地球温暖化、収穫変動などによる食糧不足、食の安全性、食糧廃棄といった問題を、foopによって地産地消・ITを活用した分散型農業環境を実現することで解消につなげたい」とビジョンを語った。
同アシスタント・ゼネラルマネージャの面川晃徳氏によると、2016年4月に発売された初代foopは予約開始から数日間で150台が完売。開発は発売の2年前から行われ、プロトタイプの開発を経て、女性ユーザーを集めたアイデアソンなどを実施し、最終デザインを決定したとのことだ。"カドケシ"のデザインでも知られる、プロダクトデザイナーの神原秀夫氏が担当したインテリア性の高いデザインも特長で、スマートフォンアプリのインターフェースにもこだわった。
また、定期的に予約注文を受け付け、生産を行う販売方式を採用したビジネスモデルも特徴。面川氏は「在庫過多を防ぎ、事業の健全性を保っていきたい」と説明する。
foopは最大で20株まで栽培が可能。葉物野菜やハーブなど15cm以下の植物を水耕栽培で育てられ、収穫時期が近いものであれば、異なる種類を同時に育てることもできる。アプリのアップデートにより、ミニトマト、コリアンダー、クレソンなど6種類の野菜・ハーブの栽培モードも追加になった。