――アーケード版として開発したコンテンツに、ゲームショウ向「協力!GHOST ATTACKERS VR」は、対戦!ハチャメチャスタジアムVRとは異なり2人のプレイヤーが協力しながらお化け退治をするシューティングゲームけに開発してきたコンテンツのノウハウが活かされているケースがあれば教えてください。
VRコンテンツの基本的な演出として、キャラクターが近づいてきて驚く、だとか、仮想空間の広さを体感できるだとか、そういう基本的な「お作法」はこれまで開発してきたコンテンツを踏襲しています。
ですが、遊びの構造はまったく別になっています。ひとり遊びがメインのプラットフォーム向けゲームと、友人とマルチプレイする前提で、かつ5~10分程度で終了するのがアーケード向けゲームなので、ゲームデザインはまったく異なってきます。
――「VR PARK TOKYO」を開設するにあたって、アドアーズと提携を行ったきっかけは?
アドアーズさんはアーケード業界に大変危機感を持たれていて、先方から打診があったのが直接のきっかけですね。
セガ、タイトー、コナミなどのアーケード展開をされている企業も、オンラインゲームのほうが収益性は高いので、みなさんアーケード分野を縮小して、そちらに注力されています。店舗運営とコンテンツ開発を両方行っているメーカーであればその舵取りで問題ないのですが、アドアーズさんは店舗運営専業ですから、メーカーがアーケードゲームを縮小すると、遊ぶタイトルがなくなっていって、店舗集客に大きな影響を与える。そんな状況の打開策としてVRに取り組まれている、と伺いました。
アーケード専業という点で今回の協業は大変やりやすいですね。我々がコンテンツ開発、アドアーズさんが店舗運営、という形で、うまく分担ができますから。
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魔法の絨毯に乗って戦う2人プレイ可能なシューティングゲーム「ソロモンカーペット VR」(開発:ハシラス)は、ステージが動いて風も吹き付けるなど、視覚以外の演出が臨場感を生んでおり、デモを行ったスタッフものめり込んでいた |
――VRコンテンツはいくつか体験したことがあるのですが、ヘッドマウントディスプレイの着脱にアテンドが必要になります。アーケード施設の人員配置の仕方とかなり差が出るように思うのですが、そこはどのようにカバーされますか?
仰るとおり、VRコンテンツには現状アテンドが必要ですので、(通常のアーケード施設の配置ではなく)コンテンツごとに運営スタッフの方をアドアーズさんの方では配置されています。アドアーズさんは、VRコンテンツを担当するスタッフのトレーニングにも注力されています。
――スタッフの配置が必須、というのはビジネス上の課題と言えそうでしょうか。
課題ですね。ビジネス的には大きなものです。アーケード施設の業務は、基本的に少人数配置で回すことができます。VRコンテンツはプリクラ、クレーンゲームに比べると人件費が過大なので、何らかよい方法を作り出さないと、今後厳しくなってきます。ユーザー側のリテラシーに転化するのもひとつの手立てかもしれませんが、現状は難しいですね。
我々もよいシステムを模索しますが、アーケードゲーム開発をされている他社メーカーのほうがハード開発は当然得意とされていますから、例えばヘッドマウントディスプレイの装着を補助する「ピット」的なものですとか、何らか専用筐体が出てくるのでは、とも期待しています。