――アテンド人員を配置した上で、1回あたり数百円が主流のアーケードゲームの相場観としては高額な利用料を設定し、70分というまとまった時間を提供するというのはかなり挑戦的に映ります。

「VR PARK TOKYO」の利用料

価格もそうですが、体験時間もビジネスとして収支が取れるものにされています。また、1タイトルあたり5~10分なので、設置タイトルを一通り遊べる時間として70分としました。渋谷という立地もありますが、20~30代くらいの方達に、カラオケ感覚で利用していただければ、と思っています。

また、体験が均一にならないように気を配りました。シアター的なコンテンツの作りですと、誰が体験してもほぼ同一のストーリーをなぞることになるので、何度も利用していただくことは難しいと考えています。我々はゲームデベロッパーなので、繰り返し遊んでいただける構成のコンテンツを提供していきます。

――「GREE VR Studio」ではハイエンドHMDからスマートフォンはめ込み型の機種まで、広くプラットフォームをまたいでコンテンツを作られている印象なのですが、メーカー・タイプごとの適性はありますか?

ハイエンドとモバイルの違いは、端的に言ってしまえばポジショントラッキングの有無です。ですから、モバイルでは自分の位置や手の動きを感知する必要のない、鑑賞中心のコンテンツになっています。

私もVRコンテンツは自社のもの以外も体験していますが、やはり圧倒的に面白さを感じるのは「人が近づいてくる」、「高いところに上る」という演出です。これらの体験は非常に強いですね。前者の具体的なタイトルで言えば、PS VRの「サマーレッスン」が代表的だと思います。また、ホラーコンテンツも特性とマッチしますね。

高所にいるかのような体験を提供する「DIVE HARD VR」(開発:メディアフロント・ジャパン)

グリーンバック合成で観客もVR空間をモニタ越しに見られる「CIRCLE of SAVIORS BEGINNERS」(開発:PDトウキョウ)

――家庭用では「乖離性(かいりせい)ミリオンアーサーVR」の来春発売が決定していますが、御社ないし他社ふくめIPを使ったコンテンツを今後VRで出すご予定はありますか?

今、ひとつ検討しているものはあります。まだ正式発表はしていないのですが。

また、国内事例ではないのですが、弊社IPでは「消滅都市」がすでにVRコンテンツになっています。中国市場で出している企業が開発したもので、実際にやってみたんですが、VRコンテンツの難しさを感じました。

――難しさとは?

消滅都市はバイクで走って進めるゲームなので、そのVRコンテンツもレーシングゲーム形式になっていました。ですが、VRコンテンツでレーシングゲームをプレイするのは難しいところがあります。というのも、スピード感があって、体がその感触を覚えているもの、つまり車やバイクなどの走行はどうしても自分の体感とズレが生じることで酔いやすく、いわゆるVR酔いが発生しやすいのだそうです。

逆に言えば、人が体験したことのない疾走感であれば酔いにくい、ということになります。PS VRの「Rez Infinite」は空中浮遊をして進めるものなので、VR酔いを防ぐという意味でも優良なコンセプトだと感じます。

――最後に、今後のVR産業についての展望をお聞かせください。

まずは、弊社の主力事業であるゲームコンテンツに注力しつつ、非ゲーム領域に幅を広げていければと考えています。ゲーム開発の知見を生かして、観光案内サイネージなど、案内機能が主軸のサービスにゲームの使いやすいインタラクション性や面白みをつけていくような形でさまざまな業態の方たちと協業などができれば嬉しいですね。

――ありがとうございました。