米航空宇宙局(NASA)は日本時間27日、木星の衛星エウロパ表面の氷から水とみられる液体が柱のように高く噴出していることをハッブル宇宙望遠鏡が観測した、と発表した。液体の水環境は生物存在の可能性を示し、NASAは今後も探査や観測を続ける予定で、今回の成果も太陽系での生物探しの手掛かりになると期待される。
エウロパは木星の第2衛星。NASAなどのこれまでの観測により、エウロパ表面は厚さ数キロの氷で覆われており、氷層の下は液体の海になっているとみられる。海の水の量は地球の2倍と推定される。
今回観測された噴出は高さ約200キロに達しNASAは「水柱」と表した。ハッブル宇宙望遠鏡は太陽の光を反射して輝く木星を横切るエウロパをとらえ、2014年の1月以降3回水が噴出しているところを観測した。観測チームの米宇宙望遠鏡科学研究所のウイリアム・スパークス氏らによると、氷層を掘らなくても噴き出す水を採取できれば、有機物や生物の痕跡が見つけられる可能性があるという。また、エウロパの海は(地球以外の)太陽系で生物が存在している場所として最も有力な場所のひとつとして今後、エウロパ表面に薄い大気があるかなどを調べる方針。
太陽系天体での生命の可能性についてNASAは2014年4月に探査機カッシーニが土星の衛星エンケラドスを覆う厚い氷の下に液体の海が隠れていることを観測した、と発表している。またNASA が2011年に打ち上げた木星探査機ジュノーは7月に木星の周回軌道に入って観測を開始し、今回の成果に新たな情報を与えると期待されている。また今回の観測をはじめ数多くの成果を挙げたハッブル宇宙望遠鏡は老朽化しているため2018年にジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を打ち上げる予定だ。
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