NECエナジーデバイスは9月26日、業務用ドローン向けに本格的な実運用が可能なリチウムイオン二次電池のプロトタイプを開発し、実用化に目処を付けたと発表した。

ドローンに用いられる電源には、飛行時間や飛行距離を伸ばすため、電池容量の大型化と電池重量の軽量化、風が吹いている天候時も安定的な飛行を継続するための電力の高出力化、電池の運用コストを低減するための長寿命化などが求められている。

今回のプロトタイプでは、正極材として比容量の大きな材料を開発・採用したことにより、高出力時の重量エネルギー密度が同社従来比で約33%向上。従来品と同じ重量で比較するとドローンの飛行時間や飛行距離が約33%延長でき、また従来品と同じエネルギー量で比較すると、サイズや重量を約25%小型軽量化することが可能となる。

さらに、電極の組成を最適化したことによる電極の低抵抗化により、エネルギー出力密度が同従来比で40%向上。これにより、ドローンの急峻な上昇下降時においても、出力電流の追従性が向上し、モーター性能を十分に引き出すことが可能となる。飛行後における電池の温度上昇も低く抑えられているほか、低温においても高出力を維持できるため、約-10℃までの低温環境下でも電池を加温することなく飛行できる。

このほか、電極材料や電解液、添加剤などの組み合わせを最適化したことで、充放電を繰り返した際の耐久性について、典型的なリチウムポリマー二次電池の2倍以上となる同社従来比10%以上の向上を実現。また、正極と負極を絶縁するセパレータに高熱に強いタイプを使用することで、高い安全性を確保している。

同社は今後、実際の自然環境下での長距離飛行や急峻な上昇下降を含む加速飛行などの試験を行うことで性能・信頼性の向上を図り、2017年度第1四半期の販売開始を目指すとしている。

リチウムイオン二次電池

ドローンへの装着イメージ