日本精工(NSK)は9月2日、2016年11月8日に創立100周年を迎えるにあたり、さまざまな100周年記念事業/イベントを順次、開催していくことを明らかにした。
同社 取締役 代表執行役社長である内山俊弘氏は、100周年を迎えるにあたって、「これまでの100年は要素部品メーカーとして、さまざまな顧客のニーズに応えてきたが、今後の10年はそうした受身のビジネスから、積極的に顧客ニーズだけでなく、その先にあるエンドユーザーのニーズまで自ら見通した製品作りを進めていきたい」という思いを込めて、「あたらしい動きをつくる。」をテーマに掲げた次の100年の最初の10年の方向性を示すビジョン「NSKビジョン2026」を2015年に策定したという。
同ビジョンの戦略は2つ柱で構築され、1つ目は、既存ビジネスにおける競争力を追及していく「基盤事業」の構築。もう1つが、そうした基盤事業で生み出される利益を活用して挑む「新成長領域」への挑戦だ。新成長領域について内山氏は、「イノベーション&チャレンジ」を掲げて展開していく、としており、内燃機関の限界から電気、水素、ハイブリッド、そして自動運転などと新たな方向にシフトしつつある自動車や、IoTをキーワードに機器間通信が進みつつある産業機械に向けて、事業の発展、拡大、強化を図っていくとする。
また、さらに先へと続く次の100年に向けては、日本で初めてベアリングを製造した創業の精神をベースに、時代と社会のニーズに先駆けて、自己変革を続けながら、「グローバル・エクセレントカンパニー」を目指していく、としており、例えば、透明性・デザイン性に優れた色素増感太陽電池に向けた3色の高透明性電荷輸送材の実用化にめどがついたほか、バイオ関連でニーズが増すとみられるマニュピレーションシステム、病院などで視覚に不自由な患者などを院内で誘導するニーズなどに向けた障害物回避ガイダンスロボットの開発などを進めているとする。
一方、9月2日時点で決定ないし実施済みの主なイベントは以下の通り。
- NSK100周年記念展覧会"SENSE OF MOTION" ~NSK製品をアートで展示~
- NSK Future Forum "SENSE OF MOTION" ~未来を動かそう~
- サテライトプログラム
いずれもアーティストとのコラボレーションによる、新たな動きを生み出すことを目的としたイベントで、展覧会は11月9日~20日にかけて、東京都南青山のスパイラルにて開催される。参加アーティストは、リオ五輪閉会式における日本のパフォーマンス部分を担当したことなどでも知られる「Rhizomatiks Research」のほか、「スズキユウリ」と「SLOW LABEL」のタッグ、「エマニュエル・ムホー」(会場構成も担当)、「Nadegata Instant Party」、「石黒猛」、そして「AR三兄弟」となっている。またフォーラムは11月12日に同じくスパイラルにて開催される予定で、こちらについてプロデューサーを務める紫牟田伸子氏は、「NSKが新しい動きをするということは、その製品を活用して新しい動きを生み出す人も出てきて、そういったことを考えていくことを目的に、参加者と講演者が忌憚無く話し合えるフォーラムにしたいと思っている」とコメント。1人ひとりの人間としての新しいモチベーションの持ち方、発想などを共有していくことを目指した「LIFE」という角度と、新たなシステムや研究領域の共有を目指した「MAKE」という角度の2つの角度で、これからの社会と未来のあり方を考えるイベントを目指すとしている。
サテライトプログラムについては、すでに動き出しているものも多くあるが、いずれも同社社員が自社の魅力に改めて気づき、誇りを持つための新たな動きとなることを目指したものとなる。主なプログラムとしては、「NSKの工場の詩を編む」、「世界で最も楽しい工場案内プロジェクト実施」、「あたらしい動きを生み出す体操」、「あたらしい動きをつくるユニフォームを刷新」、「世界で最もおいしい社食プロジェクト実施」といったことが進められているという。会見に併せて公開された「あたらしいNSK体操」の振り付けを担当した井手茂太氏は、「ベアリングという常に動くものを意識して、肩回しから動きを考えはじめ、仕事前に疲れさせるほどの運動はどうかという思いも込めて、全体を暖めさせる動きを基本に構築していった。体操になりすぎず、遊び心を加えた動きとして、健康のためだけではなく、日常の生活の中でも使ってもらいたいという思いがある」と、その動きに込めた意図を説明した。
なお、同体操については、今後、同社の各工場にてプロモーションビデオを撮影していく予定で、「覚えたら、いつでもやってもらえる、というムーブメントにしていってもらえれば」(井手氏)とのことであった。