新会社で展開しうるサービスは?

また、自社で成功した事例を他社にソリューションとして販売するケースも考えられる。ディープラーニングには初期にまとまった設備投資やビッグデータそのものが必要となり、またデータの分析やその精度を高めるにはノウハウも必要なので、どこでも簡単に手が出せるというわけではない。そこで、DeNAがすでに解析済みのデータやソリューション、あるいは解析システムそのものを提供していくというわけだ。前述したオンラインサポートなどは、まさに多くのユーザーとのインタラクションデータを抱えるDeNAの得意分野となるだろう。

DeNAとPFNの強みを生かすことで、今は企業や研究室中心のAIの利点がユーザーレベルにもたらされることが期待できる

一方PFN側としては、AI開発に欠かせないビッグデータを安定的に提供される点や、これまでPFN単独ではアプローチできなかったさまざまな分野との接点が得られることになる。プロモーションなどもDeNA側に振ることで、研究開発に専念できるというメリットも得られるだろう。

また、PFNはIoTや産業用ロボットなどハードウェアとの連携にも実績があり、ソフトウェアだけでなく実際のハードウェアを使ったプロジェクトにも強みを発揮できる。特にロボットの制御関係では、グーグルなどにも真似のできない技術を持っており、これらを生かしたサービスの提供にも期待が持てる。

AIの開発は非常にコストのかかる分野であり、ノウハウの蓄積も含めてまだまだこれから新規参入のプレーヤーが大手を逆転する余地がある、極めてエキサイティングな市場だ。グーグルやIBMといった世界規模の巨人による開発ばかりが目立つが、PFDeNAの誕生により、日本発の企業によってこれらの大企業に伍する成果が期待できそうだ。